水野さん演じる蘭という役は、旦那に好きな人ができたがために、どんどんおかしくなっていく役だったのです。おなかに赤ちゃんがいる人にこんな役をやらせていいのか?と思う自分もいました。が、水野さんはそれを吹き飛ばすような演じ方をしてくれました。

 最終回の最後、蘭が妊娠するという設定にしました。その時に見せるおなかは、水野さんのリアルなおなかにしたいと思ったからです。妊娠がわかり、いろいろな感情が交錯する中で全力で役を演じきってくれた水野さんへの、僕からの多少なりの感謝というか。女優魂に対してのリスペクトを込めたシーンだったのです。もちろん、「そんなことやりたくねえよ」と思う人もいるでしょうが、水野さんは喜んでくれました。

 そんな水野さんが母となり、久々に「奪い愛、夏」というかなりクレイジーなドラマを作ることになりました。母となった水野さんが、どんなクレイジーぶりを見せてくれるのか? 楽しみで仕方ありません。本当に思います。母、強し。

週刊朝日  2019年7月19日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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