日本ハムの注目のドラフト1位ルーキー、吉田輝星投手(18)が1軍初登板で初先発、初勝利。高卒新人が初登板先発で勝つのはドラフト導入後の1966年以降、松坂大輔やダルビッシュ有らに続く17人目の快挙で、おまけに、21世紀生まれでは初勝利。世代をリードするデビューとなった。
6月12日の広島との交流戦で5回4安打1失点。先発の責任を十二分に果たした数字ではあるが、序盤はハラハラさせられた。一回表、カープの先頭打者・長野に右前安打され、2四球を与えて1死満塁……並の投手なら大量失点の場面を無失点で切り抜けると、二回に1点を失ったものの、三回以降は危なげなかった。
「マウンドでの落ち着き方がルーキーっぽくない」
カープの1番打者・長野の言葉だ。当人も試合後、「緊張感はなかった」と語っていたが、本当に? 現場で取材していた担当記者に当日の様子を聞くと……。
「球場入りから見逃さないようにと報道陣が待ち構えていたんです。早い社は12時くらいから待ってたんじゃないかな。だけどなかなか現れなくてね」
ヤキモキする報道陣から「ホントに来るの?」なんて声も出ていた中、姿を現したのは13時58分。
「野手のアップが始まっていたはずです(笑)。日ハムはおおらかなチームで当日の先発投手の入りも遅めだから“遅刻”じゃないんですが、そうは言っても新入りで、おまけに1軍初先発の日。普通の神経なら気を使って早めに来ちゃいますよね。だけど彼は先発の特権を最初から十二分に活用してました(笑)。表情も普通で全然緊張してなくて、自分のことを優先できるプロ向きの性格なんだな、と思いました」
さらに記者を驚かせたのは試合後、初回のピンチについて聞かれたときだった。
「彼は『いつものこと』と言ったんです(笑)。2軍ではそうだったかもしれないけど、1軍初先発で、なかなかそうは思えない。大物ですよ」