布袋寅泰(ほてい・ともやす)/1962年生まれ、群馬県出身。ロックバンド「BOOWY」のギタリストとして82年にデビュー。バンド解散後の88年、アルバム「GUITARHYTHM」でソロデビュー。同年、吉川晃司とロックユニット・COMPLEXを結成。アトランタ・オリンピック閉会式での演奏や映画「キル・ビル」のテーマ曲への起用など、世界的に活躍。2012年、家族とともにイギリスに移住。今年5月、新作アルバム「GUITARHYTHM VI」(全13曲)をリリース。 [COVER STAFF 撮影/馬場道浩 アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO]
布袋寅泰(ほてい・ともやす)/1962年生まれ、群馬県出身。ロックバンド「BOOWY」のギタリストとして82年にデビュー。バンド解散後の88年、アルバム「GUITARHYTHM」でソロデビュー。同年、吉川晃司とロックユニット・COMPLEXを結成。アトランタ・オリンピック閉会式での演奏や映画「キル・ビル」のテーマ曲への起用など、世界的に活躍。2012年、家族とともにイギリスに移住。今年5月、新作アルバム「GUITARHYTHM VI」(全13曲)をリリース。 [COVER STAFF 撮影/馬場道浩 アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO]
布袋寅泰 [COVER STAFF 撮影/馬場道浩 アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO]
布袋寅泰 [COVER STAFF 撮影/馬場道浩 アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO]
最新作『GUTARHYTHM VI』(ユニバーサルミュージック)。ギターサウンドとヴォーカルで近未来を描く、短編映画のような物語性の高いアルバム。全13曲。
最新作『GUTARHYTHM VI』(ユニバーサルミュージック)。ギターサウンドとヴォーカルで近未来を描く、短編映画のような物語性の高いアルバム。全13曲。

物語性のあるロックアルバム『GUITARHYTHM VI』をリリースした布袋寅泰が語る、ロンドンでの音楽生活、家族への感謝の気持ち、BOOWYのメンバーとの再会。布袋の世界基準の音楽制作、ロックスピリッツとは──。

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 2018年、布袋寅泰はプレッシャーを感じていた。

「17年にリリースした『Paradox』はとても満足できるアルバムでした。それはもちろん喜ばしいことですが、アーティストとして前作を超える作品をつくらなくてはいけません」

 そのときに頭をよぎったのが「GUITARHYTHM」シリーズだった。1988年にBOOWYが解散し、ソロになった布袋が最初にレコーディングしたアルバムが『GUITARHYTHM』。それまでのバンドサウンドと異なり、物語性のある、映像が感じられるようなロックを意識した。リスナーからも強く支持されてシリーズ化。09年までに5作がつくられた。

「バンドが解散し孤独になったものの、解き放たれたような気持ちで挑んだ大胆な冒険心を思い起こし、ソロ30年を経た今の『GUITARHYTHM』をつくろうと考えたんです」

 そして『GUITARHYTHM VI』をレコーディング。5月29日にリリースされた。

 今作では、未来の地球が描かれている。

「あの日見た未来」

 これが制作の過程で布袋の中に浮かんだテーマだ。

「『GUITARHYTHM VI』はSFの短編集をイメージしてつくり上げました」

 全13曲。1曲目とラストはインストゥルメンタル。それぞれ映画のオープニングとエンドロールを思わせる。ほかの11曲の“音楽物語”で、布袋はギターだけでなく歌も歌っている。

「82年に公開されたリドリー・スコット監督の名作『ブレードランナー』が僕は大好きでね。あの映画の舞台は2019年の地球。奇しくもいま、僕たちはその時代を生きています。映画のようにクルマは空を飛んでいないけれど、デジタルは進歩しました。大きく変わった世界を音楽で表現しています」

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神舘和典

神舘和典

1962年東京生まれ。音楽ライター。ジャズ、ロック、Jポップからクラシックまでクラシックまで膨大な数のアーティストをインタビューしてきた。『新書で入門ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)『25人の偉大なるジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)など著書多数。「文春トークライヴ」(文藝春秋)をはじめ音楽イベントのMCも行う。

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