※写真はイメージです (Getty Images)
※写真はイメージです (Getty Images)
(週刊朝日2019年5月31日号より)
(週刊朝日2019年5月31日号より)
(週刊朝日2019年5月31日号より)
(週刊朝日2019年5月31日号より)

 近年、「家族葬」「直葬」と呼ばれる葬儀が主流となりつつある。

【葬儀にかかった費用などお葬式に関する全国調査結果はこちら】

 葬儀コンサルタントの吉川美津子氏が話す。

「1990年代後半から『葬儀会社紹介サービス』として電話帳に広告を載せる仲介会社が現れ、2003年には利用者と葬儀屋をネット上で繋げるサービスが登場しました。09年にユニクエスト社が『小さなお葬式』を開始し、同年に流通大手のイオンが葬儀仲介サービスに参入して、業界は一変しました。料金の明瞭化と並行して、サービスのパッケージ化を進めたからです。そして、『家族葬』『直葬』という名称が一般化していきました」

 直葬は「火葬式」などとも呼ばれる、お通夜・告別式なしの火葬のみの葬儀を指す。家族葬は、“密葬”とほぼ同義。他人には知らせず、身内だけの少数の参列者で執り行う葬儀を指す。1日で告別式・火葬を済ます「一日葬」といったサービスもある。

 いずれも費用は格安で直葬だと20万円以下、家族葬だと50万円以下のものもある。

「小さなお葬式」や「イオンのお葬式」、「よりそうのお葬式」(旧サービス名は「シンプルなお葬式」)などは、いずれも葬儀屋ではなく、仲介会社のサービス。ネットなどで問い合わせのあった利用者を提携する全国の葬儀屋に紹介するビジネスモデルだ。

「こうした企業の良いところは、価格の透明度が高いこと。追加料金をめぐるトラブルもあるようですが、必要最低限のサービスを組み込んだパッケージプランを用意することで、わかりにくかった料金体系を是正しました。利用者のコスト意識が高まり、価格低下圧力が強まったことも、好影響です。近隣に葬儀屋がない利用者もすぐに対応してくれる葬儀屋が見つけられるようになりました」(吉川氏)

 これまで主流だったのが「一般葬」と呼ばれる葬儀だ。遺体の引き取り(お迎え)から安置、納棺の儀式、お通夜、お別れの儀式、告別式、火葬までを数日の間に済ませる。立派な白木の祭壇を用意し、その周りには花を供え、100人規模の参列者を伴って実施されるのが“一般的”だった。しかし、徐々に一般葬でさえも縮小傾向にあると見られている。

次のページ