「料金は当初の見積もりどおり40万円ほどで、追加料金が発生することはなかったのですが、一番安いプランだったせいか、位牌は予想以上に小さく、薄いチープなもの。枕飾りを載せる小さな祭壇の素材が段ボールのようなものでした。事前にわかっていれば、もう少しマシなプランにしました……」

 この男性の友人は亡くなった父親を直葬で送り出そうとした際、菩提寺の住職から「なぜ葬儀をやらない?」「簡単な読経だけでは故人を送り出せない」「普通なら納骨もできない」と詰められ、火葬場での数分の読経のために葬儀費用並みのお布施を支払う羽目になったという。

 安く小規模な葬儀は喪主の負担も小さくなると思われがちだが、予想外のストレスが生じることもあるのだ。

「身内だけで葬儀を済ませたら後日、父のご近所さんや友人が『呼んでもらえなくて残念だった』とお香典を持参して何人も訪ねてこられて、余計に疲れました。バタバタと香典返しを用意する羽目になったことを考えると、家族葬だから手間がかからないというものでもなかった」(この男性)

 お金に関する不満も増えているという。国民生活センターの担当者が話す。

「当センターに寄せられる葬儀に関する相談の大半が金銭トラブルと言っていいでしょう。当初の見積もりを上回る金額を請求されたという相談が多いのですが、中には『低価格を売りにした葬儀会社に依頼したら質が悪かったので、解約して別の会社にお願いしたのに高額な解約料を請求された』という事例も。相談件数は15年まで右肩上がりで増加して、直近では年間700件程度で高止まりしています」

 こうしたトラブルの発生を抑えるべく、ユニクエスト社では「お問い合わせいただいた段階で利用者にはパッケージプランのオプションとなる付帯サービスの提案は必要か否かを確認し、当社が提示したプラン料金と、提携先の葬儀屋が発行した見積書の金額が異なる場合にはお客様が希望して追加したサービスか確認するようにしている」(広報担当者)と話す。(ジャーナリスト・田茂井治)

週刊朝日  2019年5月31日号より抜粋