NGT48卒業を発表した山口真帆さん(C)朝日新聞社
NGT48卒業を発表した山口真帆さん(C)朝日新聞社

 山口真帆さんの暴行被害騒動に揺れたNGT48。山口さんが4月21日に卒業を発表したことで、危機に追い込まれている。

【画像】微笑む山口真帆さん 「こんな形で蓋をしてはいけない」と専門家

 事の発端は1月8日の山口さんのSNSでの発言だ。昨年12月8日に、山口さんの自宅に押し掛けたファンから顔をつかまれるなどの暴行を受けたと告発。事件にはNGT48のメンバーが関与している、という仰天の内容だった。

 運営会社のAKSは3月22日に、第三者委員会による調査報告の会見を開き、複数のメンバーが「つながり(私的な接触)」を持っていたと認めた。が、事件へのメンバーの関与は「確認できなかった」ため、「不問にする」との方針を表明。会見中に山口さんは「なんで嘘ばかりつくんでしょうか」などとツイッターに投稿し、紛糾した。

「警察や第三者委員会の調査の結果、メンバーが関わっているとする具体的な証拠がないから、処分のしようがない。ただ、山口さんの言い分に対して、運営はあまりにも不誠実だった」(事情を知る関係者)

 対応に不満を募らせた山口さんは、21日の復帰公演の舞台上で、涙ながらに卒業を発表。あいさつの中で、社長から「会社を攻撃する加害者」と言われ、何をしても不問なこのグループに居場所はなくなってしまったと発言。運営への批判を繰り返した。あいさつには「社長への憎悪、AKSへの不信感がにじみ出ていた」と関係者は言う。

 会場の新潟の劇場には300人超が駆けつけ、入場できなかったファンがあふれた。公演はインターネット配信され、劇場そばの喫茶店では多くの客がスマホの画面に見入っていた。

「まほほん(山口さんの愛称)が公演終盤に卒業のあいさつを始めた瞬間、店内が静まり返りました。無力感が漂っていたんだと思います」(ファンの一人)

 山口さんの処遇をめぐっては、運営内部では「復帰と和解」が本音だった、と関係者は語る。

「脱退すれば、山口さんは好き放題に話せます。暴露本でも出版されては目も当てられない。やはりグループに残ってほしかったはずです。ただ、修復は難しかった」

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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