帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
※写真はイメージです (撮影/多田敏夫)
※写真はイメージです (撮影/多田敏夫)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のタイトルは「手指を刺激しよう」。

*  *  *

【ポイント】
(1)手は脳と密接につながっている
(2)手指に刺激を与えると認知症予防になる
(3)5本の指のなかでも特に親指が重要

 指ヨガを提唱する龍村修さんによると、ヨガの大家、沖正弘さんは「手は露出した脳である」という教えを説いていました。それだけ手は脳と密接につながっているというのです。

 ですから手指に刺激を与えることは脳への刺激になり、認知症予防につながることになります。

 手と脳の関係で思い起こすのは、医学部の学生時代に教わった「ホムンクルスの図」です。

 これは脳神経外科医のワイルダー・ペンフィールドが描いた図で、脳と体のどの部分がつながっているかを表現しています。顔、手、体の比率がおかしな小人が脳に乗っかっている図です。見たことがある方もいると思います。

 この図では手がとても大きく描かれています。それは、脳にとって、体の中で手が占める割合が大きいということなのです。もう少し詳しく説明すると、脳が体を感覚するときに手が占める割合と、体を動かすときに脳にとって手が占める割合があります。この割合は、動かすときのほうがやや大きいのですが、いずれも手は大きな割合を占めています。

 この図を見ると、改めて手が脳にとって大変重要なのだということがわかります。

 認知症と手指の関係、特に親指との関係を指摘しているのが、認知症専門医の長谷川嘉哉さんです。著書『親ゆびを刺激すると脳がたちまち若返りだす!』(サンマーク出版)のなかで、手の指の大事さを語り、5本の指のなかでも、ボケ防止のために特に大きな役割を果たすのが、親指だとしています。

 確かにほかの4本の指と向かい合わせることができるのは、親指だけなのです。「もつ」「つかむ」「にぎる」「むすぶ」「まわす」「ひねる」といった手の働きのなかで、重要な役割を果たしています。

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帯津良一

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帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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