私の医師の仕事でも親指は重要ですね。脈をとることから始まり、頸部の触診、胸部の聴診・打診、腹部の触診・聴診など親指は大活躍です。

 長谷川さんが著書で勧めている刺激法の基本の3つを紹介します。

【1】 両手ともじゃんけんのグーの形を作ってから親指をピンと伸ばして第一関節だけを曲げ伸ばしします。第一関節の曲がっている感覚をしっかり意識するのが大事です。

【2】 両手の手のひらを上に向けて開き、親指を曲げて小指のつけ根にタッチします。このとき、手のひらの下、手首のあたりに広がる刺激を意識します。

【3】 親指の腹と人さし指の腹をくっつけ、次に親指の腹と中指の腹をくっつけます。さらに、薬指の腹、小指の腹と進んでいきます。これを両手同時にリズミカルに行います。

 このほかにも様々な親指刺激法が紹介されています。挑戦されてみてはどうでしょうか。

 いずれにしろ、手指というのは奥が深いですね。石川啄木は短歌で「ぢっと手を見る」と詠みましたが、おもわずじっと手を見たくなります。

週刊朝日  2019年4月26日号

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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