「完璧に打てた」と思える対局はない 囲碁棋士・井山裕太の本音

松岡かすみ週刊朝日
井山裕太さん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・小原雄輝)
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井山裕太さん(左)と林真理子さん (...

 日本囲碁界の歴史を次々と塗り替えた、囲碁の“絶対王者” 井山裕太さん。12歳でプロ入りし、2度の七冠達成の偉業を成し遂げ、昨年には28歳の若さで国民栄誉賞を受賞しました。海外対局にも積極的に出向き、グローバルに活躍する王者の素顔に、作家の林真理子さんが迫ります。

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林:今はインターネットで囲碁をする人、多いんですか。

井山:多いです。世界中の人と24時間いつでも対局できますので。

林:このあいだ、「将棋とAI(人工知能)と作家がコラボして」云々という記事が新聞に載ってましたけど、囲碁の世界にもAIが進出してきてるんですか。

井山:そうですね。ボードゲーム(盤上のゲーム)の中で、囲碁はAIが人間に勝つのに時間がかかるだろうと言われていたんですが、グーグルの「アルファ碁」というのが出てきて、3年前、世界トップクラスの李世さんという韓国の棋士にいきなり勝ってしまったという衝撃的な出来事があったんです。そう遠くない将来、そういう時代が来るだろうと私も思ってたんですが、思ったより早かったですね。

林:でも私、AIと勝負しても意味ないと思うんですよ。人間の頭脳による組み立て方を競うゲームに機械を介在させたって何の意味があるのか、私はぜんぜんわからないです。

井山:「アルファ碁」が出てきたときは、「AI対人間」みたいな構図も少しあったんですが、今は「戦う相手」よりも「別もの」というか。棋士同士ですと当然ミスもたくさんします。それを楽しみに見てくださる方もいらっしゃるので、今はどう共存していくか、ということですね。

林:共存ですか。

井山:うまく活用していくことができれば、棋士たちのレベルアップにつながる可能性もあるし、もっと囲碁を身近に感じてもらえるきっかけにはなると思うんです。

林:おそらく読者がいちばん聞きたいのは、井山五冠の頭の中がどうなっているかということだと思うんです。お目にかかるとふつうの若い人となんら違いがありませんけど、頭の中はふつうじゃないというか。

井山:特別なことをしている意識もないですし、ほかの棋士とここが違うとか、そんなことはぜんぜん思わないですが、プロの棋士って、碁盤に向き合ってなくても(自分の頭を指して)ここの中に盤上が入ってるんですね。

林:ああ、盤上が頭の中に。

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