ティッシュ800枚入り594円、男性用パンツ1枚702~1404円、カミソリ4617円……。
大阪刑務所(堺市)で受刑者に販売されている日用品が高すぎるとして、大阪弁護士会は3月29日、刑務所側に対して改善を求める「勧告書」を提出した。男性受刑者が人権救済を申し立てたことで、実態が浮き彫りになった。
ティッシュの市場調査価格(2016年の堺市の平均価格)は、「320枚入り5箱パック」で261円だから、1枚当たりの価格は約4.5倍にもなる。
刑務所からチリ紙は支給されるが、月500枚に制限されている。風邪や花粉症などで体調の悪い受刑者は足らなくなったら、自費で“高級ティッシュ”を購入せざるを得なくなる。
今回、価格調査に当たった川下清弁護士が説明する。
「人権救済の申し立てを行った受刑者は、起床時にたびたび口の中から出血がありました。チリ紙の使用頻度が高く、不足分は自費でティッシュを購入するしかありません。ところが、ずいぶんと“高級品”のようで、申立人は『俺たち収容者にこんな高級品は必要ない。塀の外にいても買わない』と怒っていました」
“高級ティッシュ”とは、どんな素材なのか。鼻が赤くならないようにやわらかく、保湿成分を加えたようなものなのだろうか。弁護士会も製品じたいは把握していないという。
大阪とは別の刑務所に服役したことのある男性がこう明かす。
「刑務所内ではティッシュではなく、『上質チリ紙』と呼んでいるはずです。収容されたばかりの時、シャバにいる感覚で刑務官にティッシュ下さいと言ったら、『ここにはチリ紙しかないんだよ!』と怒鳴られたことがありましたから(笑)。箱入りではなく、封筒くらいの大きさのポリ袋に紙が百数十枚入ったものが5束セットで、やはり価格は500円前後だったと思います。小分けしているのは、ポリ袋が頭にかぶれる大きさにならないよう自殺防止のためです。紙の質は、やわらかい書道半紙のような素材でした」