ユニークなところでは、5月1日未明に出発し、富士山や日の出を見ながらの遊覧飛行を楽しむチャーターフライトだ。航空会社フジドリームエアラインズが売り出した「改元チャーターフライト」は、24時間営業の中部国際空港を使う。定員60人で、2人2席利用7万5800円、1人2席利用7万2千円と高額だが、「ものの十数分で、完売いたしました」(フジドリームエアラインズ広報)。他のご来光ツアーも、うかうかしているうちに完売してしまうかもしれないので、早めにチェックしておこう。

 皇室ゆかりの地を巡るという過ごし方もある。JTBでは、4月30日から改元を挟み、5月2日までの3日間、三重県の伊勢神宮などを訪れるツアーを企画する。新元号初日の5月1日には、皇室とゆかりの深い野那智大社を訪れ、新たな元号が入った御朱印を受け取る。

「平成最後の日と次の時代の始まりは特別な旅で」(JTB担当者)

 京王観光では、「改元記念ツアー」と題し、天皇家ゆかりの御用邸を巡る日帰りツアーを企画。大正天皇(当時皇太子)のご静養地だった沼津御用邸の邸内でランチをした後、御殿を見学。その後、明治期の皇族である小松宮彰仁親王の別邸、そして“スポーツの宮様”と親しまれた秩父宮殿下の別邸を回る。

 第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生さんは、こう予測する。

「改元によって、日本の伝統を感じられるような旅行をしたいという機運はますます高まるでしょう。これから歴史に急に興味を持つ人が続出するのではないでしょうか」

 今後、特別な皇室行事がめじろ押しで、自然と日本の古い文化に注目が集まると思われる。新元号が発表されれば、その由来や過去の元号にも興味が湧くことが考えられるからだ。さらに、熊野さんは消費者心理も変化するとみている。

「新元号の元年は、心機一転の機会になる。貯蓄志向から消費志向に切り替わる人も少なくないのでは」

 すでにその兆候は表れており、海外旅行予約は昨年7月からスタートしてピークを超え、国内旅行も値段が高いシーズンにもかかわらず一部ツアーが予約受け付けを終了するなどしている。

「海外旅行は前年同期比で約5倍、国内旅行は約3倍と、異例の需要の高まりです」(JTBの担当者)

 改元という大きな節目、あなたはどう過ごしますか?(本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2019年4月5日号

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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