──お仕事をご一緒する前と後で、お互いの印象は変わりましたか。

草なぎ:あんまり僕は変わっていません。なんか偉そうですけど、監督は作品に対してすごくストイックだよね。当たり前ですけど、今回、主演の山崎君やコズエ役の新音ちゃんに対しての愛情の深さゆえ、厳しさもありましたし、撮影が終わり、そういうことから解き放たれてちょっとやさしい感じになったんじゃないかな。それと、自分でも見たことのない顔とかしぐさとかを撮ってくれました。光一っていうエロおやじならではの雰囲気っていうんですかね。傘に入るシーンの、タッチがね、なんかあるな、みたいな。自分でも新鮮でした。

鶴岡:草なぎさんにOKをいただく前、企画を動かすのに苦労した時期が1年以上続いたんで、最初はめちゃくちゃ緊張していたんです。終わってみると、こうして作品が完成して、草なぎさんにも参加していただいた。本当に光栄ですし、すごく幸せに思いますよね。

草なぎ:こちらこそですよ。

──多くのファンが映画を楽しみにしています。

草なぎ:ちょっとエロエロでダメな浮気者を演じ、新しいおやじ路線、ちょっとした面白路線を監督がうまく撮ってくれたので、今後、別の何かにつながっていくんじゃないかって思う。光一って役はたぶん、みんなが初めて見る僕の顔。とても楽しんでいただけると思います。期待してほしいですね。

鶴岡:草なぎさんの新しい一面を見たと、ご覧いただいた方にはそういう感想をいただくんですよ。「すごく意外性があって、よかったです」みたいに言っていただいて。この映画はサトシっていう一人の主人公がいろんな人たちからいろんなものを受け取って成長するっていう話で、草なぎさん演じる父親がその成長のゴールにいる。ラスボスじゃないですけど、そういう立ち位置から映画をぐっとパワーアップさせてくださいました。そういうところをぜひご覧いただきたいですね。

(聞き手/本誌・工藤早春)

週刊朝日  2019年3月22日号より抜粋