と語る。編集者として雑誌を作っていたときも、芸術かエロかのすれすれの境目を面白がっていた。何なのか分類できなくて頭に残るとか、胸がざわざわするものが好きなのだという。

 本の中で末井さんは、「生きづらさを感じている人や、自殺するかもしれないと思っている人に、この本を読んでもらいたいのです」と書いている。

「僕は何も悩みがなく生きている人にあまり興味がなくて、自殺しそうな人にシンパシーを感じます。そういう人の方が生きることの苦しみとか、社会の矛盾といったことを考えていると思うし、その人たちの抱えている問題や視点を共有することで、社会がよくなり面白くなると思うんです」

 白夜書房を退社した7年前から、文筆とバンド活動の日々を送る。

「文章を書いているときは、結構辛いですね。バンドのライブが月に3、4回あるので、そこで発散しています。僕は文章も音楽も、長年やってきた雑誌の編集も、アマチュアだと思っているんです。プロなら絶対しないというようなことをしますから。そこが面白いのかもしれません」

(仲宇佐ゆり)

週刊朝日  2019年2月22日号