女子テニス界の頂点に立った大坂なおみ(c)朝日新聞社
女子テニス界の頂点に立った大坂なおみ(c)朝日新聞社

「大坂、1月の陣」はまたしても快挙達成となった。

テニスの大坂なおみ(21)が、全豪オープンの女子シングルスで初優勝した。昨年の全米オープンに続き、4大大会2連覇。さらに、日本勢初の世界ランク1位の称号を手に入れた。

 元テニスプレーヤーの杉山愛さんは、今大会の大坂の戦いぶりをたたえる。

「技術力やパワーは世界超トップクラスの実力というのは昨年の全米優勝で証明していますし、今大会のパフォーマンスにも表れています。2大会連続で結果を出せているというのは……。調整、気持ちの持ち方など、すべてが整っていないと、この好成績には結びつきません」

 2年前までは、試合中にリズムを崩して自滅してしまうことがあった大坂。ミスに対し『自分はこんなはずじゃない』という思いに捕らわれていたように見えた。それが昨年あたりから、悪い時も自分を受け入れて、良い方向へ転換していく「成熟」の過程ととらえられるようになったため、勝利を掴めたのだろう。

「大坂選手は完璧主義者というか、求めるものが高い。今の彼女のテニスを見ていると、考え方が成長して、試合中の気持ちの整理がかなりうまくなっていると感じます」

 確かに、今大会の大坂は失点時に、自分をコントロールしようとする振る舞いが見られた。「アーッ!」と甲高い声で叫んだ後に、相手に背を向けて深呼吸。ラケットをたたきつけようと一瞬振りかぶるが、こらえてラケットをコート上に置き、顔に手をあてて深呼吸。あるいは深呼吸してから「うん、うん」と大きくうなづくシーンもあった。

 これらのしぐさを、「怒りの感情とうまく付き合う『アンガーマネジメント』の理にかなっている」と評するのは、日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんだ。

「甲高く叫んだのは、感情の『認識』です。自分が今どんな感情であるか分かれば、それに対処することができます。自分は怒っている、ということをはっきり意識するのがポイントです」(安藤さん)

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日常生活もメンタルコントロールが必要