口の中の細菌数は便と同じくらいのレベル!? 歯周病は誤嚥性肺炎を引き起こす理由 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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口の中の細菌数は便と同じくらいのレベル!? 歯周病は誤嚥性肺炎を引き起こす理由

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柏崎晴彦週刊朝日#ヘルス
九州大学大学院高齢者歯科学・全身管理歯科学分野教授の柏崎晴彦歯科医師(本人提供)

九州大学大学院高齢者歯科学・全身管理歯科学分野教授の柏崎晴彦歯科医師(本人提供)

『「認知症が気になりだしたら、歯科にも行こう」は、なぜ?』より

『「認知症が気になりだしたら、歯科にも行こう」は、なぜ?』より

 口腔内細菌のもう一つの特徴として、細菌が歯の表面に堆積し続けるとバイオフィルムという強固な膜を作ることがあります。問題は、バイオフィルムはうがいや薬だけでは除去するのが難しいという点です。バイオフィルムを除去するためには、物理的な歯と口の清掃、つまり歯磨きや口腔ケアが不可欠です。

 口腔ケアは、虫歯や歯周病などを予防するのみならず、飲み込む機能や認知機能などを高めることも知られていますが、さらに誤嚥性肺炎の発症を抑えるなど、全身の病気の予防に関わることがわかってきました。認知症患者さんの死亡リスクを減らし、食べることを継続し、その人らしい生活を送るためにも口腔ケアは大切です。

■「かかりつけ歯科医」の重要性

 認知症の予防や進行の抑制、そして認知症になっても健康を維持するという意味で注目されているのが「かかりつけ歯科医」の存在です。「かかりつけ歯科医がいない」という人は、「いる」という人に比べて1.4倍も認知症になるリスクが高いことがわかっています。また、咀嚼(そしゃく)(噛むこと)は脳に刺激を与え、脳の血流を増加させることがわかっています。

 したがって、いろいろな食べものをしっかり噛めて、おいしく食事できることは、認知症の発症や進行を遅らせる効果が期待できます。痛みがなくても定期的に「かかりつけ歯科医」に通って、歯を長持ちさせるための歯周病治療を受け、歯がなくても「噛める入れ歯」を作ってもらうことが大切です。

■認知症になっても、口から食べ続けることを大切に

 しっかりと口から食べ続けることこそ、認知症の患者さんの生きがいやその人らしさを守り、誤嚥性肺炎のリスクを低減するために重要です。食べることや咀嚼は認知機能とも大きく関わります。

 認知症が進んで自分で食べられなくなると、胃ろう(経管栄養)や点滴で栄養を補給することがあります。口から食事をしなければ口の中は汚れないと思われがちですが、実はまったく逆なのです。口からまったく食べられなくなると、細菌数が増加し、細菌の種類(細菌叢(さいきんそう))が変化し、肺炎の原因菌が増えてしまうことが最近の研究でわかってきました(右図)。

 一方、口から食べることを継続していれば、口の中の細菌は正常な状態を維持します。このことから、胃ろうなど経管栄養や点滴で栄養を補給する状態になっても、可能な場合は、少量でもよいので口からの食事と口腔ケアを継続することが大切です。

 このように、認知症を口から支えるシステム(かかりつけ歯科医と連携した食事と口腔ケアの継続)作りこそが、認知症の患者さんの生活の質の保持と健康長寿のために大切といえましょう。

◯かしわざき・はるひこ
1965年北海道生まれ。北海道大学大学院歯学研究科助教、北海道大学病院講師などを経て、現職。日本口腔外科学会専門医・指導医。がん治療や移植などの高度急性期医療における口腔管理が専門。

※『「認知症が気になりだしたら、歯科にも行こう」は、なぜ?』から抜粋


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