RADWIMPSを率いる野田洋次郎(中)と、ギターの桑原彰(右)、ベースの武田祐介。ドラムスの山口智史は病気のため活動を休止している
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RADWIMPS『ANTI ANTI GENERATION』の初回限定盤(EMI/ユニバーサル UPCH―29313)には、ツアーの模様やインタビューを収録したDVDがつく
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昨年の横浜アリーナ公演を収録した映像作品『Road to Catharsis Tour 2018』
昨年の横浜アリーナ公演を収録した映像作品『Road to Catharsis Tour 2018』

 野田洋次郎率いるRADWIMPSが2年ぶりにニュー・アルバム『ANTI ANTI GENERATION』を発表した。音楽的な幅を広げ、果敢でたくましい姿勢を鮮明にした力作だ。

【ニュー・アルバムの初回限定盤や昨年の横浜アリーナ公演を収録した映像作品はこちら】

 話題のシングル「サイハテアイニ/洗脳」をはじめ、昨年のフジテレビ系のサッカーのテーマ曲となった「カタルシスト」、映画『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』主題歌の「Mountain Top」など、話題満載の曲が収録されている。

 本作でかぎを握るのは「洗脳(Anti Anti Mix)」と「PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~」の2曲。

「洗脳」は、シングルとは異なるミックス。価値観の違いからお互い相いれない人間関係がテーマだ。MVでは“天使”のようなバラの花を抱えた白い衣装の少年と、“悪魔”のようなナイフを手にした黒い衣装の少年が登場し、人間の持つ二面性を表現している。

 わらべ歌「あんたがたどこさ」を引用し、“肥後”を“庇護”と置き換え、“どこ贔屓かってんで えっさほいさ生きた結果”と歌う。そのシニカルな一節はいかにも野田洋次郎的だ。

 育ててくれた母への感謝を口にしながら、“はみ出し”者と言われて逆上し、母親が動かなくなるまで殴り続けたと語り、“たとえそれが血のつながった肉親であろうと許すわけにはいかないのです”と狂気的な一節に続く。

「PAPARAZZI~」は、野田が本作のリード・トラックにするべく主張したが、スタッフの意見で却下されたという曲だ。

 父親の職業についての作文を宿題として出される寸劇の「<宿題発表-skit->」に続いて親子の会話がはじまる。父親の職業は“役者さん、ミュージシャン、スポーツ選手や著名人 家の前だとか仕事場でも どんなところだって張り付いて その人の日々の監視する”仕事で、記事にして“世間のみんなに知らせる”。“体力も根気もなきゃいけない とても大変な仕事”だと父親は語る。

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小倉エージ

小倉エージ

小倉エージ(おぐら・えーじ)/1946年、神戸市生まれ。音楽評論家。洋邦問わずポピュラーミュージックに詳しい。69年URCレコードに勤務。音楽雑誌「ニュー・ミュージック・マガジン(現・ミュージックマガジン)」の創刊にも携わった。文化庁の芸術祭、芸術選奨の審査員を担当

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『君の名は。』で名を上げたRADWIMPSの強力新譜!