保阪:あまり指摘されていないが、しっくりこないとの声もあるでしょう。本質的に重要なところだと思ったけれど。

岩井:触れると本人たちの負担になると、そう解釈するしかないですよね。

保阪:代替わり後のことだけど、雅子さまはどうなるのか。たとえば宮中祭祀には、ほとんど出席なさっていませんね。祭祀は、合理性や理屈では成立しない、近代知識で納得することが難しい面があるし……。しかし、雅子さまは「どうして、こうする必要があるのか」と、頭で考えるタイプなんですね。皇室の伝統や務めに対して。

岩井:最近、皇太子妃殿下も状態が良くおなりになって、全国赤十字大会や「みどりの愛護」のつどいにもお出になったし、15年ぶりに園遊会も最後まで出席なさったと報じられています。ですが、皇太子さまお独りのものも含めても、皇太子ご夫妻が地方や外国にお出かけになるのは、年間を通じて秋篠宮ご夫妻の半分ぐらい。そんな大勢はさほど改善されていない。

 雅子さまは代替わりについて、「身の引きしまる思いが致します」とおっしゃっているけれども、皇后の仕事のご負担は、量的にも質的にも、皇太子妃時代とは、ケタ違いに重くなる。

 祭祀に至っては、長期療養に入ってからの15年間で皇太子妃の出番は300回くらいあったはずですが、出席はわずか2回です。このままでは、皇后は出ないが、皇嗣妃の紀子さまは出るという、深刻な問題が起きかねない。

 東宮の機能不全が続いている現状について国民の理解を得ないままごまかして、代替わりへと進めば、平成はじめの皇室バッシングのような批判が再び噴出しないとも限らない。

 十分に承知した側近や宮内庁幹部が心してかかり、主治医が責任ある説明をていねいに重ね理解を求めないといけない。まず今年、代替わりの重要な儀式を乗り越えられるか。そしてその後の「新時代」にどのような軌道を敷いていくか。皇后はあまり表には出ないというパターンをつくるならつくるで、はっきりさせることが重要だと思う。ヨーロッパの王室のようにごくたまに国民の前に出てきて手を振るというのなら、それも仕方ない。

保阪:そんな時代になるのかもしれませんね。

(構成/本誌・永井貴子)

週刊朝日  2019年1月18日号