米中貿易戦争で中国に大ブーメラン “大豆ショック”で畜産崩壊寸前! (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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米中貿易戦争で中国に大ブーメラン “大豆ショック”で畜産崩壊寸前!

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「経営は限界」だと話す農家の豚舎 (撮影/高橋五郎)

「経営は限界」だと話す農家の豚舎 (撮影/高橋五郎)

空っぽの大豆粕工場倉庫兼荷積み施設 (撮影/高橋五郎)

空っぽの大豆粕工場倉庫兼荷積み施設 (撮影/高橋五郎)

(週刊朝日 2019年1月4-11日合併号より)

(週刊朝日 2019年1月4-11日合併号より)

「今年春から通商紛争の激化を予想して、原料を米国産からブラジル産や国内産に変えました。でも必要量には足りず、経営へのダメージは計り知れません」

 大豆ショックが深刻になったのは、中国の農業が抱える構造的な問題がある。中国の大豆生産のピークは2004年の1700万トン。それが翌年から減り、いまは1400万トン程度。大豆はもうかりにくいので、農家がつくらなくなったためだ。

 1キログラム当たりの単価はトウモロコシの約2倍だが、同じ広さの農地から収穫できる量はトウモロコシの4分の1程度。農家は、よりもうかるトウモロコシに集中するようになった。

 効率性を上げるため農地を広げようとしても多数の農家から土地を借りる地代負担が大きくなるため、小規模な農家が多い。いまから作付けを増やそうにも、タネ用の大豆の備蓄は五十数万トンしかない。栽培技術も向上しておらず、生産量をすぐに引き上げるのは難しい状況だ。

 経済成長を優先する政策のもと、農業の発展は後回しにされてきた。かつての農業大国の面影はなく、いまや大豆に限らず多くの農産物を海外に依存し始めている。大豆の価格は、中国産はアメリカ産やブラジル産の1.5倍だ。中国の農業は国際競争力を失ってしまった。

 畜産農家は大豆ショックをなんとか乗り切ろうとしているが、課題はたくさんある。4千頭の肥育豚と100頭の繁殖豚を育てるOさんは、飼料を大豆粕からトウモロコシに切り替えた。飼料用倉庫をのぞくと、50キロ入りの大豆粕の袋がわずかばかりしかない。

「トウモロコシの成分は炭水化物が多く、たんぱく質は少ない。肉質の良い豚を育てるには、たんぱく質が豊富な大豆粕が必要です。でも価格が急騰したので、トウモロコシを大幅に増やした。頼みのトウモロコシも、価格が上昇してきています」

 トウモロコシの価格はこの数カ月で、トン当たり百元近くも上昇。明らかな便乗値上げだ。

 悪いことは続く。8月初旬、家畜の伝染病である「豚コレラ」が発生した。ロシアから輸入した肥育豚から広まったとみられている。人の健康への影響はないが、消費者は豚肉を避けた。豚肉の市場価格は下がり、畜産農家を苦しめた。当局によると、これまで全国84カ所で63万頭が処分され、被害は拡大中だという。

週刊朝日  2019年1月4‐11日合併号より抜粋


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