シニアには笑顔と「ちんたら運動」がいい (c)朝日新聞社
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順天堂大学医学部の奥村康特任教授
順天堂大学医学部の奥村康特任教授

 しょっちゅう風邪を引く人がいる一方で、風邪にもインフルエンザにもかからない人がいる。病気になりやすい人、なりにくい人。その差は免疫力の差にあるようだ。そこで注目したいのが、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)。その鍛え方を解説する。

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 京都大学の本庶佑特別教授がノーベル医学生理学賞を受賞したことで「免疫細胞」という言葉が注目された。健康は免疫によって左右される。細菌やウイルス、寄生虫などの異物が体に入らないよう、体内には常におまわりさんのような「パトロール」隊(NK細胞)がいて、異物を見つけると、すかさず攻撃、退治する。退治できなかった敵が残っていると、「これは非常事態だ」と、ふだんは休んでいる地上軍隊(T細胞やB細胞)が出る。有効な武器(抗体)を作り、チームで戦う。その司令となるのがヘルパーT細胞で、キラーT細胞とB細胞に攻撃させる。攻撃が終われば、サプレッサーT細胞が、過剰攻撃を行わぬようブレーキをかける。

 こう説明をしてくれたのは、免疫学の権威、順天堂大学医学部免疫学の奥村康特任教授だ。免疫力は血液中の白血球が担っているが、白血球の免疫細胞はリンパ球、顆粒球、単球の3種に分かれ、独自の役割がある。NK細胞やT細胞、B細胞などはリンパ球だ。

「ウイルスをはじきとばしたり、日々発生するがん細胞を死滅させたりしているのが、ナチュラルキラー細胞です。これが強い人はがんになりにくく、風邪も引きにくい」

 NK細胞は、体外からの異物だけでなく、体内の異形細胞も死滅させる。私たちの体には、日々約1兆もの新しい細胞ができるが、うち5千ほどの細胞は、突然変異を起こした細胞(異形細胞)。これをNK細胞ががんにならぬようにと働いて、やっつけているのだ。

 しかし、NK細胞の殺傷力は加齢とともに弱くなる。奥村教授によると、50代になったら、NK細胞を活性させる生活習慣をつけることが望ましいという。

 そこで、さっそく今日から免疫力を上げる生活、「免活」を始めよう。まずは生活習慣の基本を奥村教授から学ぼう。

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