さらに、国内の研究で、週末も平日と同じ時間帯に睡眠をとっている人を基準にすると、この時差が2時間以上の人は、メタボリックシンドロームのリスクが1.92倍、腹囲の基準値オーバーのリスクは2.26倍にもなるという結果も出ています。ニュージーランドの研究からも、この時差が大きいほど、肥満度を示すBMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)の数値が高く、BMI30超の肥満やメタボリックシンドロームも多いことがわかっています。

 社会的ジェットラグの影響は、こうした肥満や生活習慣病といったからだの不調にとどまりません。メンタルの不調につながっていることも明らかにされています。ブラジルの研究では、この時差が2時間を超えると、明らかに抑うつ症状が強くなることが示されています。

 平日分の寝だめで朝寝坊、1年分の睡眠不足をとり返すための寝正月という気持ちはよくわかります。ただ、睡眠不足が積み重なった睡眠負債の返済は上手にしないとからだのリズムを乱し、かえって体調を崩してしまいます。時間のある年末年始は、いつもより少し早めに就寝し、いつもと同じ時間に起床して光を浴びる、午後3時までの時間帯に昼寝をとる、など上手な疲労回復法をおためしください。

(文/近藤昭彦)