Q:遺産分割協議の参加者は?

A:相続人全員の参加が必要
 相続税の申告・納付までに最も大事なのが、誰がどの財産を引き継ぐのか決める遺産分割協議だ。遺産は相続人同士で共有してもいいが、トラブルになりやすく、分割するのが一般的。

 遺言がなければ法定相続分に沿って分割する。相続人が配偶者と子1人の計2人なら、それぞれ2分の1ずつ引き継ぐ。配偶者と子2人の計3人なら、配偶者が2分の1、子はそれぞれ4分の1ずつなどとなっている。子は嫡出子と非嫡出子による違いはない。

 遺言があれば、法定相続分に優先するため、その内容に従う。

 相続人全員が合意すれば、自由な割合で分割することもできる。

 遺産分割協議は相続人の全員参加が絶対条件だ。1人でも欠けたら無効になる。相続人全員が集まって話し合ってもいいし、遠方の人がいる場合は書面で意見を主張することもできる。相続人の代表が原案を作って全員の承諾を得てもよいが、多数決で決めることはできない。成立を示す協議書には全員の署名・押印が必要だ。

 分割された財産に応じてそれぞれの相続人が納税する。納税の対象になるかどうかの分岐点は、財産全体が基礎控除額を上回っているかどうか。基礎控除額は3千万円+(600万円×法定相続人の数)の計算式。相続人が妻と子2人の計3人だったら、3千万円+(600万円×3人)=4800万円。遺産総額が1億円だとすると、そこから4800万円を差し引いた5200万円が課税対象となり、引き継いだ割合に応じて納税義務がある。

 納税は一括払いなので、現金を早めに確保しておきたい。

Q:遺産分割できないときは?

A:「未分割」でも納税義務がある
 遺産分割協議がまとまらず未分割の場合は、相続人は法定相続分に従って引き継いだものとして納税する。配偶者の税額軽減といった特例は適用できず、いったん高額な相続税を納める必要がある。

 後から遺産分割して再申告すれば、払いすぎた税金は取り戻せるが、10カ月以内に結論を出したほうがいい。

 期限をすぎても納税しないと、本来の税額に加え、無申告加算税や延滞税がかかってくる。延滞税は遅れが2カ月以内なら原則、年7.3%、2カ月超なら年14.6%の利息分を余計に支払わなければならない。(本誌相続取材班)

週刊朝日  2018年12月14日号より抜粋