今回の改正への関心は高く、相続セミナーには多くの人が参加する (写真=相続支援会社「夢相続」提供)
今回の改正への関心は高く、相続セミナーには多くの人が参加する (写真=相続支援会社「夢相続」提供)
相続する財産の割合 (週刊朝日 2018年12月14日号より)
相続する財産の割合 (週刊朝日 2018年12月14日号より)
相続の主な流れとポイント (週刊朝日 2018年12月14日号より)
相続の主な流れとポイント (週刊朝日 2018年12月14日号より)

 相続の仕組みが来年から大きく変わる。今年成立した改正民法が順次施行され、故人の預金が引き出しやすくなるなど変更点は多い。みんながいつかは向き合う問題だけに、この機会に仕組みや活用法を理解しておこう。悩みやすい遺産分割のポイントを含め、Q&Aで徹底解説する。

【将来に備えておくと安心!相続の主な流れとポイントはこちら】

 相続コーディネーターで相続支援会社「夢相続」の曽根恵子代表は、事前の準備が大事だと訴える。

「亡くなった後は葬儀の準備や保険の手続きなどで、時間はあっという間にすぎてしまいます。将来に備えて、やるべきことを整理しておくと安心です」

 まずは、亡くなってすぐに直面するお金の疑問から。

Q:葬儀代に遺産を使うには?

A:故人の口座から一部引き出し可能に
 家計を支えていた人が亡くなれば当面の生活費に加え、葬儀代など出費が増える。故人の口座からお金を引き出そうとしても、金融機関が亡くなったことを知れば口座は凍結されてしまう。電気やガスなど公共料金の自動引き落としもできない。

 凍結の解除には、これまで相続人全員の同意が前提だったため、時間がかかっていた。喪主を務めたり手続きを任されたりした相続人が、当面の費用を立て替えるケースが多かった。

 約40年ぶりとなる今回の相続大改正では、この問題への対策がとられた。一定の金額内なら、故人の口座から現金を引き出せるようになったのだ。

 相続人1人当たりが引き出せる金額は、「預金額の3分の1×その相続人の法定相続分(財産をもらえる割合)」まで。例えば900万円の預金があり相続人が妻だけなら、計算上は300万円を引き出せる。ただし、金融機関ごとの上限額は150万円だ。

 弁護士の藤井鉄平氏はこうアドバイスする。

「下ろした額は、もちろん相続分から差し引かれます。相続人の間でトラブルが生じないように、下ろして使った記録を残しておくことが重要です。領収書を保管するなど、きちんと説明できるようにしておきましょう」

Q:相続税の納付期限は?

A:死亡後10カ月。手続きは早めに
 死亡後の大きな節目となるのが、相続税の申告・納付の期限。亡くなった翌日から10カ月以内に、原則として現金で納める。

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