この国はすでに超少子高齢化で外国人に労働力を頼らなくてはいけないのは、わかる。が、その前に、大企業の内部留保や、この国の最低賃金や過重労働をしないと食べていけない人々の話がなされないのはおかしい。

 差別についても、安倍政権は寛容すぎないか? すでに、この国の最低賃金は先進国では下のほうだ。いずれ、この国の若者たちが海外へ出ていくことになるのかも。そこで待っているのは、差別だ。やられたことはやり返されると思っていたほうがいい。

 と、この原稿を書いているあたしだって、貧困に陥り国から「自己責任」といわれる可能性はあるわけだ。でも、あたしは堂々と権利を主張し、保護を受けると思う。差別されたら理不尽だと怒る。だって、窮地に立たされた人を「自己責任」と叩いたことなんてない。その信用があるから、この国の法を守って、税金をきちんと払ってるんじゃ!

週刊朝日  2018年11月16日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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