「今はそっとしておいていただければ」とコメントした柄本 (c)朝日新聞社
「今はそっとしておいていただければ」とコメントした柄本 (c)朝日新聞社

 10月27日未明、俳優柄本明の妻である俳優角替(つのがえ)和枝(本名・柄本和枝)さんが「原発不明がん」で亡くなった。享年64だった。柄本は事務所を通じ「かねてより闘病中でした」と報告した。

 息子の佑(たすく)と時生も俳優で、佑の妻は、俳優奥田瑛二とエッセイスト安藤和津の次女安藤サクラ。芸能一家を襲った突然の訃報(ふほう)に悲しみが募るばかりだった。

 胃がんや肺がんという特定のがん名があるとわかりやすいが、死因となった原発不明がんはあまり聞き慣れない病名で、不安を抱いた人は少なくない。2004年には、いかりや長介さんも同じく原発不明がんで死去した。

 原発不明がんとはいったいどんな病気なのか。

 国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍(しゅよう)内科の米盛勧病棟医長によると、がんが発見されて検査をしたときに、(1)原発部位(はじめにがんが発生した臓器)が特定されない、かつ、(2)病理診断で転移性のがんであることが確認できた状態を、原発不明がんと診断するという。

 なぜ特定できないのか。

「がんが最初に発生した病変が消えてなくなることがあり、転移部分だけが検出される状態になるからです」(米盛医師)

 原発不明がんは、60~70歳代でがんと診断される人が罹患することが多いとされ、日本人の罹患率は3%。診断技術や医療機器の発達により、がんの発生源を特定しやすくなり、原発不明がんと診断される人は減ってきているという。

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