米盛医師は、原発部位が明らかな場合と不明の場合の状況を次のように説明する。

「明らかな場合は、大きさ、リンパ節への転移の状況、他の臓器への広がりにより、がんの病期を決め、早期がん、進行がん、遠隔転移したがんといった段階に基づいた治療方法や治療目標を設定でき、患者にも理解しやすい」

 だが、不明の場合は、「大半が遠隔転移して治癒不能な状況が多いが、一部は治癒できる場合もあるので、専門家が臨床診断の分類を適切に行い、どのような治療がよいのかを検討し、実施することが重要」だという。何よりも、原発不明がんの特定が遅れると危ない。専門医ではない医師の中には、探せば原発部位が見つかると考え、探し続けた結果、がん治療が遅れる場合があるそうだ。

「十分な知識や経験がないことによる診断や治療の遅れが、少ないながらも時々あります。がんの診断と治療に長(た)けた腫瘍内科医の診療を受けることが重要です」(同)

(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2018年11月16日号