黒木:時間があればやってみたいなとは思っています。家でちょっとたてたりはしてるんです。お抹茶がすごく好きで、いただいたお菓子と一緒に飲んでいます。

林:私もポットのお湯でシャカシャカってやってお茶をたてたりすることもあります。そうそう、今日おみやげ持ってきたの。野点用の茶道具セット。

黒木:欲しかったんです! ありがとうございます。うれしいです。

林:よかった。漫画家の東村アキコさんにこのページに出ていただいたとき、「着物を着てお茶をやりたいんです」とおっしゃったので、「私のうちの隣で友達がお茶教室やってますよ」と言ったら習い始めて、いま夢中になってるみたい。私もしばらく通ってたんですけど、忙しくて行けなくなっちゃって残念です。

黒木:皆さんがハマる感じがちょっとわかった気がしました。

林:いまや映画とか舞台に引っ張りだこの黒木さんですけど、突然出てきて、気がついたらすごい人気者になったという印象があるんです。

黒木:はい、突然出てきました。

林:最初はお芝居ですよね。

黒木:そうです。(中村)勘三郎さんと野田秀樹さん夫婦の娘役(「表に出ろいっ!」10年)でデビューして、それを見ていた今の事務所の人が、声をかけてくださって、それからですね。

林:ああいう話題のお芝居って、映画やテレビの関係者が見に行きますよね。それで「この女優いいな」ということになったんですか。

黒木:私、そのときはふつうの大学生だったのですが、テレビでも取り上げていただいて。「小さいおうち」(14年)で賞をいただいて、さらに皆さんに知っていただけるようになりました。

林:山田洋次監督どうでした? やりやすかったですか。

黒木:往年の映画監督の方という印象を受けました。カットで見ているというか、「セリフのとき、こうやってコップを持って飲んで」など、動きを細かく演出なさるんです。そういう現場は初めてでおもしろかったですし、画をつなげて見てみると素晴らしいし、すごい方だなと思いましたね。たぶん見てるところが違うんだろうなと思います。

林:あのとき「昭和顔」と言われて、「すごくイヤだ」とおっしゃってたのを覚えてますよ。今はそんなことを言う人、誰もいないでしょう?

黒木:言われます。でも、受け取り方が変わりました。「それでいいや」って。時代劇のときは顔で助かっている部分もあるので、これも自分の個性として受け入れられるようになりました。

週刊朝日  2018年10月26日号より抜粋