新作映画「日日是好日」で、樹木希林さんと共演し、多くを学んだという黒木華さん。樹木さんが亡くなる前に行われた作家・林真理子さんとの対談で、黒木さんが共演エピソードを明らかにしました。
* * *
林:(「日日是好日」は)静かないい映画でした。
黒木:最近なかなかないですよね、こういう感じの映画。
林:不器用でうまくいかない一人の女性が、それでも丁寧に生きていて、女の人に共感をもって見られるんじゃないかと思いますよ。
黒木:私もそう思いました。最初に脚本を読んだとき、お茶はぜんぜんやったことがなかったのですが、すごく共感できたんです。
林:私、原作者の森下典子さんとは、お目にかかったことはありませんが、原作(『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』)をもう何年も前に偶然手に取って、とてもいい本だと思ったんです。私が若いころは、結婚して子どももつくって、仕事だってバリバリしなきゃって思っていました。でも今は、結婚なんかしないで、自分の好みに合った人生を送ったほうが価値があると思っている女の人が多いですよね。森下さんは時代の先を行ってたんだなと思います。この映画を見て「ハイミスがお茶をやって寂しそう」と思う人はいないと思う。
黒木:そうですね。自分自身の人生を楽しんでますよね。
林:以前「かもめ食堂」(2006年)という映画がありましたね。それぞれの生き方をしてきた日本の女性3人が、フィンランドで日本食の食堂を開く話。当時共感した人がたくさんいましたが、それに近い感じだなと思って。ところで黒木さん、お茶はほんとに初めてだったんですか。
黒木:はい、初めてだったので大変でした。
林:私は、ちょっとかじってはやめを繰り返しています。黒木さん、映画の中で最初のころと終わりのほうの動きがまったく違っていて、さすがでした。顔つきや雰囲気がだんだん気品高くなっていって、一つの道をきわめるってこういうことなんだなと思いました。黒木さんにぴったりの役柄で、素晴らしかったです。
黒木:ありがとうございます。うれしいです。
林:樹木希林さんと初共演ですか。
黒木:はい、そうです。