室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
(c)小田原ドラゴン
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 作家の室井佑月氏が日本に広がる同調圧力を嘆く。

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 安倍首相は国民にどう思われようが関係なくなってきてない? 第4次安倍改造内閣のメンバーの顔ぶれを知ってそう思った。いいや、正直いうと喧嘩を売られているようにさえ感じた。

 疑惑や問題が発覚してもそれを力でねじ伏せうやむやにし「禊(みそぎ)は済んだ」とか勝手にいってそうなワルの親玉、親分にヘイコラするためならヘイトスピーチ紛(まが)いの発言も厭(いと)わない、ってか、厭うような頭もない超小物。あ、狙ってそういう発言をし、のし上がった化け物もおったわい。

 経済学者の金子勝先生のTwitterに、

<昔の自民党への郷愁から60年間のブランディングを信じて自民党に投票している人も多い。だが、ここにあるのは昔の自民党ではない。実際、安倍内閣は、ほぼ全員、極右改憲派の日本会議メンバー。ついに自民党は極右カルト集団に乗っ取られたのだ>

 と書かれておった。方々から批判を受けたみたいだが、あたしは直球、ストレートな言葉だと思った。

 日本会議はいくつか、親和性が高いフロント団体を持っていて、いろんな分野の活動をしている。たとえば、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」「放送法遵守を求める視聴者の会」「神道政治連盟」などだ。会員も重なっていたりする。

 これらの人々に自民党は乗っ取られたと金子先生はおっしゃるが、自民党が乗っ取られるということは、この国が乗っ取られたといってもいいのかもしれない。

 神道政治連盟は、新憲法制定、皇室と日本文化の尊重、靖国神社の国家儀礼確立、道徳・宗教教育の推進などを訴えている。

 だが、「週刊ポスト」10月12・19日号の記事によれば、今年3月に第12代靖国神社宮司に就任した小堀邦夫氏は、

「陛下が一生懸命、慰霊の旅をすればするほど靖国神社は遠ざかっていくんだよ」「今上陛下は靖国神社を潰そうとしてるんだよ」

 と驚きの天皇陛下批判をしている。

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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