理由は何にせよ、息子二人と関係がよくなくなってしまった母親がテレビに出て、息子の正義を熱く語り涙する。正直、見ていて笑ってしまう。息子とのねじれがある中、どんな気持ちで語っているのか?

 調べてみると、藤田紀子さんは元女優さんで、昭和42年、ある映画に出演して一部で注目されたとネットに書いてあった。その作品名が「雌が雄を喰い殺す 三匹のかまきり」。

 また笑ってしまう。

 自分の感情を昂らせて、視聴者の気持ちも揺さぶるそのパワー。なんだか、以前のデヴィ夫人と通じるものを感じる。そう考えると、藤田紀子さん、今のデヴィ夫人のように、どこかで吹っ切れて、体を張ったりするときも来るのではないか? バンジージャンプやったりスカイダイビングしたり。タレント性は十分である。息子さん二人が、テレビを見て「おふくろ、何してんだよ」と思うかもしれないが、どうせなら、デヴィ夫人のように体を張って、「何してんだよ」と言われてるほうが、家族としては幸せなのではないか?

週刊朝日  2018年10月19日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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