残るはボクシング、柔道、体操(新体操を除く)だが、来年3月末までに開催地を決定できなければ、中止せざるを得ないという。

 高体連柔道専門部は、九州のある都市と交渉を続けてきたが、「五輪キャンプ地の誘致」が自治体の最優先事項となったこともあって、今年5月に断られてしまった。現在、別の自治体と交渉中だが、ある幹部は「(回答は)早めに、とお願いしているが、どこまでかかるかは……」と不安を隠せない。

 開催地が決まっていない3競技からは、いずれも国内トップレベルの選手たちが輩出している。

 ボクシングは具志堅用高(1973年)、村田諒太(2002年、03年)、井上尚弥(09年、11年)ら世界王者がズラリ。

 柔道は山下泰裕(1973年、75年)、古賀稔彦(84年、85年)、井上康生(95年)、松本薫(2004年)のオリンピアンたちに、9月の世界柔道の兄妹同時優勝で話題になった阿部一二三(14年、15年)まで。

 体操は個人総合だけでも塚原直也(1994年、95年)、冨田洋之(97年、98年)、山室光史(2006年)、寺本明日香(11年、13年)に加え、種目別ゆかには内村航平(05年)、白井健三(13~15年)、村上茉愛(12~14年)らと、尽きない。

 全国高体連の西塚事務局長は「日本のスポーツの発展に、インターハイがどれだけ影響してきたか。五輪選手もインターハイ経験者が多く、(インターハイの)結果によって卒業後の進路が決まる選手もいる。今まで中止となった競技は一つもない。30競技、一つも欠かさずやることが一番の願い」として、あきらめない姿勢を見せる。

 大会の経費削減を進める一方で、スポーツ庁に補助申請を出しているが、「国の予算が決まるのは開催の前年度、つまり来年だが、補助してもらえる見込みは薄いと思っています」(西塚事務局長)。

 全国高体連は「2020インターハイ特別基金」設置し、ホームページで協力を求めている。

 1競技の開催には平均約4千万円かかる。7億円を目標としているが、今年9月15日時点で到達金額は3463万円。目標の5%にも満たない。

 3競技の開催地決定の期限まであと半年。審判の時が迫る。

(本誌・緒方麦)

※週刊朝日オンライン限定記事