「アムロス」を語る秋山花子さん(撮影・上田耕司)
「アムロス」を語る秋山花子さん(撮影・上田耕司)
引退から2日たったタワーレコード渋谷店にはまだメッセージボードが残っていた(撮影・上田耕司)
引退から2日たったタワーレコード渋谷店にはまだメッセージボードが残っていた(撮影・上田耕司)

 引退した歌手の安室奈美恵さんは9月20日、41歳の誕生日を迎えた。16日の引退まで少しでもその姿を目に焼き付けようと、沖縄に集結したアムラーたちもそれぞれの地元へ戻ったが、早くも“アムロス”が広がっている。

【写真】タワーレコード渋谷店にはまだメッセージボードが残っていた

 那覇空港から19日、帰ってきた埼玉県の販売業に従事する30代の秋山花子さんは、アムロスをこう語る。

「1年前の引退宣言からあっという間に過ぎました。 沖縄に一緒に行ったアムラーの友達と2人で病んでます。もう何にも手につかなくて……。16日の花火大会でちょっと吹っ切れたかなという思いもあるんですが、現実に戻るのはやっぱりきついですね」

 秋山さんは、9月15日に沖縄県宜野湾市のコンベンションセンターで開かれた安室さんのラストライブチケットの募集に当たらず、チケットなしで出かけた。

 ライブは外で聴いたが、翌日、安室さんが見学した引退の花火大会には幸運にも入場することができた。

「花火大会のチケットも、直前までなかったんですが、友達が探してくれたんです。奈美恵さんは、ファンからは見えない席にいたので、私も見えなかったです」

 夜空に1万2000発の花火が上がった。安室さんが最後にライブで叫んだ「みんな元気でね」という生の声は届いてきたという。

「人生であれだけ素敵な花火はもうないと思います。奈美恵さんはみんなと笑顔で別れることができるように、最後は花火にしたんでしょう」

 秋山さんは、沖縄では観光名所などは周らず、安室のサインの置いてある「かき氷店」など、安室スポットに行っていたという。

 台湾から安室さんのラストライブのためにやって来た台湾人女性の羅葦琳さん(35)と男性の林宥形さん(40)は、安室引退の翌日(9月17日)、台湾に帰国した。

「安室さんがいなくて寂しい。沖縄からの帰りの飛行機の中では涙が流れました。何者にも代えられない。この心の穴を埋めるのは難しい。彼女の歌をこれからも繰り返し聴くつもりです」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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