沖縄の地元紙、琉球新報社では那覇市の本社1階で、安室の企画展「My Hero~琉球新報でたどる安室奈美恵25年の軌跡」を8月22日から開催し、全国のアムラーたちが大挙して訪れた。それももう引退の日16日で閉幕した。

「社内の空気として、一種の虚脱感がありますね。安室さんが引退する16日まで、私たちも力を入れて報道してきたし、事業担当の部署は企画展をひたすらやってきましたので」(琉球新報編集局長・普久原均氏)

 記者が那覇市内、ラストライブ会場周辺で話を聴いただけでもアムラーたちは、北海道、山形、千葉、埼玉、岡山、佐賀、台湾など各地から駆けつけていた。ライブのチケットすら持たず、予約の取りにくい飛行機に乗り、ライブ会場近くのホテルは満室で、遠く離れたホテルに泊まっていた。アムラーたちの驚くべき消費行動。次はどこへ向かおうとしているのか。

 安室引退の2日後、彼女のDVDとCDをまとめて1万3000円買った都内の製造業に従事する主婦(40)は、

「他の趣味にお金を使いたい。私の場合はディズニーと福山雅治ですね」

 寂しさをとりあえず、大坂なおみで癒されたいという女性ファンもいた。

 前出の秋山さんは、いろいろ買った安室グッズはアムラーのお友達と集まる時、身につけたいという。

「安室さんの代わりは、簡単に見つかると思えません。彼女には素敵なスタートを切って欲しいし、私も新たなスタートを切りたいと思います。これまで、安室さんに使っていたお金は、貯金に回したいと思います。これからもずっと一生アムラーでいたい」 

 これまで25年近く、青春期に安室さんの歌声に励まされ、一体になって生きてきたアムラーたちの喪失感は当分、続きそうだ。(本誌 上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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