加熱すると減少してしまうビタミンCも、汁に溶け出すことで摂取しやすくなる。ご飯を食べる前にスープを飲めば、血糖値の上昇を緩やかにしてくれる。

 米・ハーバード大学でがんや免疫について研究した麻布医院の高橋弘院長は、野菜スープを日々の食事に取り入れている。がん患者から「がんになったら何を食べたらいいのか」と問われたことがきっかけで、ファイトケミカルを効率よく取るスープを考案したという。

 野菜スープは15年間ほぼ毎日取り続けていて、体重は89キロから76キロに減量した。おかげで実年齢は67歳だが、血管年齢43歳、体内年齢47歳まで若返ったと高橋院長は喜ぶ。

 高橋院長だけでなく前田氏も実践する野菜スープの作り方を見ていこう。

 野菜はそれぞれ持っているファイトケミカルが異なるので、同じものばかりではなく、季節のものを取り入れ3~6種類を組み合わせるとバランスがいい。

 野菜の摂取目標350グラムをサラダで取るのは大変だが、普段の食事にプラス一品としてスープを加えれば目標達成は可能だ。ファイトケミカルも上手に吸収できる。具体的なレシピを次のページで公開している。みなさんの食卓にもどうだろう。

 ほかにも注目すべき食材がある。抗酸化物質であるビタミンEが豊富に含まれている「米ぬか油」だ。宮澤陽夫(てるお)東北大学教授(食品学)はこう語る。

「米ぬかにあるトコトリエノールという不飽和型のビタミンEは、がん細胞を抑える効果があるのです」

 がん細胞を移植したマウスにトコトリエノールを2週間与えると、がん細胞の増殖が抑えられ小さくなることが宮澤氏の研究で明らかになった。

 昔は玄米もよく食べていたのでビタミンEも取れていたが、今では白米が主流だ。そこで宮澤氏は、米ぬか油を料理に使うことを勧める。ビタミンEは水溶性ではなく脂溶性なので、油から取るのが正解だ。米ぬか油は繰り返し使っても劣化しにくいため、揚げ物に活用しやすい。油は太ると過度に避ける人もいるが、健康には欠かせない食品なので、野菜や果物に加えてきちんと取るようにしたい。

 ここまで見てきたように、サビないカラダをつくるには食事が一番重要だ。活性酸素は今もあなたの体で、遺伝子や細胞を傷つけているかもしれない。明日から食事を改善して、健康生活を目指そう。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日 2018年8月17-24日合併号より抜粋