イラスト/CHARAPHIC LAB Co. Ltd.
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 がんと告知された患者は、ただでさえ冷静に説明を聞くことが難しい心理状況なのに、かぎられた診察時間で、医師と適切にコミュニケーションをとることはさらに難しいことといえるでしょう。ここでは、「医師に質問しても機嫌を損ねない?」「納得できるまで説明を受けたい」について、日本医療コーディネーター協会代表理事・嵯峨崎泰子さん、聖路加国際病院相談支援センター医療連携室・がん相談支援室アシスタントナースマネジャー橋本久美子看護師に回答してもらった内容を紹介します。

【上手な説明の受け方 五つのポイントはこちら】

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Q:医師に質問しても機嫌を損ねない?

A:損ねませんが同じ質問のくり返しは避けましょう

 担当医は患者のがんに真剣に向き合ってくれます。治療効果を上げるために、患者自身の理解が不可欠ということもよくわかっていますから、何度質問しても機嫌を損ねることはないでしょう。

 しかし、何度も同じ質問をくり返し、そのために診察時間を引き延ばすようなことがあると、担当医との信頼関係はこわれてしまうかもしれません。

■ひとこと断ってから録音するといい

 日本医療コーディネーター協会の嵯峨崎泰子さんはこう話します。

「ひとこと断ってから、担当医との話を録音するのもいいでしょう。くり返しの質問を防げますし、聞き逃したことも確認できます」

 どうしてもわからない場合は、「それは、このような理解でいいでしょうか」と自分の言葉で言い直して確認すると、自分なりによくわかり、印象もよくなります。何度も質問するのがためらわれるなら、がん相談支援センターで説明を求めてもいいでしょう。

Q:納得できるまで説明を受けたい

A:事前に準備して聞きたいことを効率よく聞きましょう

 混み合った病院のかぎられた診察時間の中で、納得いくまで説明を受けるのは至難の業です。聞きたいことも未消化のまま、診察時間が終わってしまうこともあるでしょう。

 時間が足りないと思ったときは、自分の受ける治療をきちんと理解するためにも、「気持ちの整理がしたいので、別に時間を取っていただけませんか」と申し出ましょう。そして、担当医とのアポイントまでに、次の五つのポイントを押さえて、聞きたいことをすべて聞くための準備に取り掛かりましょう。

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できる範囲で予習すると良い