最近でも「扶養親族等申告書」を巡り、約130万人分の過少支給などが発覚。日本年金機構の水島藤一郎理事長や厚生労働省幹部らが6月29日付で処分された。厚労省は同日、機構に業務改善命令を出した。約125万件の個人情報が流出した15年以来2回目で、機構や国への不信は募る。

 見落としがちなのが、専業主婦らに払われる「振替加算」だ。

 厚生年金に20年以上加入している人が65歳になった時点で配偶者や子供がいる場合、加給年金を受け取ることができる。給料で言えば扶養手当のようなものだ。

 この加給年金は、配偶者が65歳になると配偶者自身も老齢基礎年金をもらえるようになるため、打ち切られる。その代わり一定の条件を満たした配偶者に支払われるのが振替加算。例えば18年度に65歳になる1953年4月2日から54年4月1日生まれだと、年6万2804円もらえる。

 この振替加算について、17年に約10万6千人分、計約598億円の支給漏れが発覚している。

 条件を満たしているはずなのに振替加算をもらえていないようなら、専門家に相談しよう。申請しないと、ずっと「もらい漏れ」が続く恐れがある。

 日本年金機構では一般的な相談を受け付ける「ねんきんダイヤル」を用意している。最寄りの年金事務所で相談したい時は、事前に「予約受付専用電話」にかけてから行くとスムーズだ。

 庶民にとって老後の支えとなるはずの年金だが、もはや国任せは通用しない。埋もれた年金を探し出して年金がもっともらえるように、一人ひとりが作戦を実行しよう。(本誌年金取材班)

【請求漏れリスクが高い人のチェックポイント】
・転職や転勤が多かった
・勤めていた会社が閉鎖、倒産、合併、社名変更した
・公務員になる前や後に会社勤めをしたことがある
・自営業を始める前に会社に勤めていた
・パートやアルバイト、季節労働などをしていた
・親や親類の会社の手伝いをしていたことがある
・戦時中、軍需工場に徴用されたことがある
・戦時中や終戦直後に民間の企業に勤めていた
・戦後、進駐軍施設で働いたことがある
・夫を亡くしたが遺族年金をもらっていない
・日本年金機構から「あなたのものと思われる年金記録があります」という通知が届いた

週刊朝日 2018年7月13日号より抜粋