日本年金機構本部=東京都杉並区
日本年金機構本部=東京都杉並区
「年金記録照会申出書」の記載例(日本年金機構作成)
「年金記録照会申出書」の記載例(日本年金機構作成)
請求漏れリスクが高い人のチェックポイント
請求漏れリスクが高い人のチェックポイント

 年金の請求漏れのリスクが高いのはどんな人か。転職や転勤を繰り返したり、親類の会社の手伝いをしていたりと、さまざまなケースが想定される。これまで約5千件もの年金を発掘し、「年金探偵」とも呼ばれる社会保険労務士の柴田友都氏の助言をもとにチェックポイントをまとめた。当てはまる人は少なくないはずだ。

【チェックポイント】請求漏れリスクが高いのはこんな人!

 柴田氏は「制度上の欠陥が、年金を正しくもらえない人を大量発生させている」と憤る。

「本人が請求しないと年金を受給できないという仕組みに問題があり、だからこそ請求漏れが起きる。厚生労働省や日本年金機構は、保険料を集めることばかり考えています。請求漏れをなくすためにどうすればよいのかを少しでも考えていたなら、膨大な『消えた年金』が生じるはずはありません」

 チェックポイントに当てはまり、年金記録に漏れや誤りがありそうな場合はどうすればいいのか。自分で日本年金機構に問い合わせてみよう。「年金記録照会申出書」を最寄りの年金事務所に提出すれば、調べてくれる。もちろん無料だ。

 申出書を出す際には、自分の「消えた年金」が見つかりやすいように、次の点に注意しよう。結婚などで名前が変わった人は旧姓でも確認する。間違えられやすい読みや漢字の名前の人は、誤って記録されていることもある。

 柴田氏も指摘していたように、勤務先は社名や業態が変わっている場合も少なくない。職場と本社の所在地が異なることもある。勤務先に関する情報は、ささいなことも含めて、できるだけ記入する。

「年金記録照会申出書」の記載例(日本年金機構作成)を見てほしい。

 勤務先の名称は「凸凹商事」になっている。参考情報では、「みんな『スーパー凸凹』と呼んでいた」となっている。正式な社名がわかると記録を調べやすいので、できる範囲で思い出そう。わからない場合は、社長の名前や従業員数など、手がかりとなりそうな情報も書いておく。

 消えた年金は5千万件あったうち、今も2千万件近くが未解明のまま残っている。国や日本年金機構に任せていても、見つけてはくれない。払った保険料は自分で守るという意識が必要だ。

 年金をすでにもらっていて、未加入期間はないという人も油断してはいけない。

 自分の年金の額が正しいかどうか、手元に届く「年金振込通知書」や「年金額改定通知書」を定期的に確認しよう。金額が以前に比べて大きく変わっていないかなどをチェックする。日本年金機構のミスやわかりにくい手続きのせいで、「過少支給」されていることもあるからだ。

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