石丸:僕、子どものころから銀座によく来ていて、銀座が好きなので、かかわれる仕事がないかなと思っていたら、連載をもつことになりまして。ああいう形で発信できるのはおもしろいことだなと思いましたね。

林:探訪記ではないですけど、昔の思い出もチラッと書かれたりして、とてもおもしろかったです。

石丸:とはいえ、だんだん書くことがなくなってきちゃうんです(笑)。3年でちょうどよかったなと。

林:日比谷駅の帝国ホテル側の出入り口から地上に出ると、劇場街があるじゃないですか。宝塚劇場の前でファンが待っているのを見ることもあって、私はあの日比谷界隈が好きなんですよ。

石丸:まさにここ(日比谷の東宝本社)ですよね。

林:そうです。石丸さんのあのエッセーを読んで、俳優の方って私たちと違って銀座を仕事場として見ていらっしゃるんだなと思って。

石丸:特に僕らミュージカルの俳優たちは、今度のように年に何回か日比谷に戻ってきて仕事をしますから、そのときに街並みとか人の通りとかで季節を感じるんですよね。それがおもしろいですね。

林:話が変わりますけど、何年か前「半沢直樹」に支店長役でお出になったでしょう。あんなに視聴率が高いと、外を歩いていても大変だったんじゃないですか。

石丸:浅野支店長という役だったんですが、初回から視聴率が高くて、事務所にTBSさんから花が毎週届くんです。

林:「高視聴率御礼」ですか。

石丸:そうです。でも僕、ドラマ自体まだそんなにたくさん出ていたわけでもなかったんで、どうして花が届くのかわからないし、視聴率というものがどんなものなのか、あまりよくわかってなかったんですね(笑)。僕が出たのは前半の5回までだったんです。その間にもう役名が独り歩きしていて、街を歩いていると、石丸個人じゃなくて、“浅野支店長”として「アッ……」と言われるんです(笑)。なるほど、こういう現象が起きるんだと思いました。

林:インパクトありましたもんね。支店長の顔がよくアップになるし、また声が通るから、イヤな感じがますます増大しちゃって(笑)。

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