テレビの前で寝転ぶ夫に毒づいてしまう前に……
テレビの前で寝転ぶ夫に毒づいてしまう前に……
ポンコツ夫を変える魔法の言葉(週刊朝日 2018年6月22日号より)
ポンコツ夫を変える魔法の言葉(週刊朝日 2018年6月22日号より)
夫をポンコツにするNGワード(週刊朝日 2018年6月22日号より)
夫をポンコツにするNGワード(週刊朝日 2018年6月22日号より)

 動いてくれない夫に、「ちょっとは手伝ってよ!」と、つい毒づいてしまうことはないだろうか。だが実は、その物言いこそが、夫をポンコツ化してしまっている要因だ。そうさせないためには、伝え方や言い方に、ちょっとしたコツが必要。今日もイライラ最高潮な貴女に、その技を伝授する。

【あきらめるのはまだ早い!ポンコツ夫を変える魔法の言葉はこちら】

「まさか、夫がまともに家事をするようになるなんて思ってもみませんでした」

 東京都在住の専業主婦、田中美津子さん(仮名・60歳)は今、夫の変化に驚いている。家庭でまったく役に立たない夫のポンコツぶりにいつもイライラさせられてきたが、1年ほど前から“あること”を実践。それは、伝え方や頼み方のちょっとしたコツ。言い方ひとつ変えるだけで、夫は気持ちよく、田中さんの思うように動いてくれるようになった。

「こんなことで、心の穏やかさを取り戻せるなら、もっと早く取り入れたらよかった」(田中さん)

 田中さんが4歳年上の夫をうとましく感じるようになったのは、夫の定年後。会社を辞めた夫は、朝起きて朝食を食べたら、テレビの前の定位置に寝転び、一日中テレビを見て過ごす。田中さんが出掛けようとすると、「俺の飯は?」。

 一日中家にいるようになったのに、掃除や洗濯、炊事は、田中さんがやって当たり前。お風呂から上がったら、浴室のドアの前に、タオルに加え、清潔な下着とパジャマが用意されていないと機嫌が悪い。

「ちょっとは手伝ってよ!」

 何度、こう叫んだかわからない。それでも夫は、困ったような顔をするか、不機嫌になるだけ。気付けば毎日、イライラが最高潮に達していた。

「一時期は夫が視界に入るのも嫌というくらいでした」(田中さん)

 たまに食器洗いを手伝ってくれても、皿に汚れが残っていたり、台所が水浸しになっていたりと、余計に手間がかかる。我慢して、私が全部やるしかないのか──。半ばあきらめて、憂鬱な気分でこれから先の夫婦二人の老後生活に思いを巡らせていたという。

「夫のリタイア直後というのは、夫婦間の意識のギャップが目立ちやすい時期でもあるんです」

 夫婦問題研究家の岡野あつこさんは、こう指摘する。妻側は、環境に変化が出た時期に、普段から我慢してきたことが噴出しやすい傾向にある。つまり夫のリタイアを機に、それまで抑えてきた夫への不満が口をついて出やすくなるのだ。一方で、リタイア後の夫は、肩身の狭い思いをしていることも少なくない。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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