「ワシは今でも眞須美は冤罪やと思っている。だから、メディアに家を取り囲まれても、外出の必要があれば堂々と出かけた。逃げるように、コソコソするとそれこそ犯人や、怪しいというイメージになる。世論に犯人だとされてしまうと思ったんや。だから、『堂々としていたら、ええんや』と家族にも口をすっぱくして言うたわ」。

 メディアに追いかけ回される野崎さんの妻の映像をテレビで見たという健治氏はこう同情する。

「右も左もわからん若い女の子がマスコミに追いかけられて気の毒なもんや。ほんま、同情する。その心情は自分のことのようにわかる。しかし、犯人ではないなら堂々とした方がええ」

 さらに同じような経験をした立場からアドバイスをしたいと主張する。

「おこがましいけど、一刻も早く刑事事件に強い弁護士に依頼をするべきや。和歌山は腕のええ弁護士があまりおらん。地の利から見れば、大阪の弁護士がいいと思うな。ワシも弁護士を選任して、窓口になってもらい、かなり楽になった。弁護士にはちゃんとカネを払うこと。そうしないと、働いてくれやんからな。やっぱり金やで。資産家のドン・ファンの妻なら弁護士代くらい安いもんや」

 和歌山県警は野崎さんが自宅でビールを飲んだ後、急死したことから覚せい剤を口から摂取した可能性が高いとみて、自宅から押収したビール瓶2千本を鑑定するなどの捜査を進めている。

「はじめて野崎さん宅を捜索したとき、亡くなった日に飲んだビール瓶が、すでに経営している酒店に戻されていた。それゆえ酒店にあったビール瓶すべてをチェックすることにした。墓から押収した愛犬イブの鑑定も進めている。ただ、イブの体内から覚せい剤が検出されだけでは、決め手にならない。野崎さんの体内から検出された覚せい剤と、同一か否かがカギになる。捜査は長期化する可能性もある」(和歌山県警関係者)

(今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定記事

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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