野崎さんの和歌山の自宅前を連日、メディアが取り囲んでいるが、カレー事件の時も同じ光景が繰り広げられたというのだ。

「状況はカレー事件の時とよく似ている、そっくりや。テレビ見たら、カレー事件の時にいた記者連中の顔もあったな」と健治氏。

 カレー事件は1998年7月に和歌山市の園部地区の夏祭りで、屋台で提供されたカレーに毒物が混入され、5人が急性ヒ素中毒で死亡するという前代未聞の事件だった。

 同年10月に眞須美死刑囚と健治氏は保険金詐欺容疑で逮捕された。

 その後、カレーにヒ素を混入したのは眞須美死刑囚とされ、殺人容疑で逮捕。2009年には眞須美死刑囚の死刑判決が確定した。

 一方、健治氏は詐欺罪で懲役6年の実刑が確定。05年に刑務所を出所した。

 事件から逮捕までの2か月以上、すさまじいメディアスクラムの状況だったと健治氏は振り返る。

「家の電話は朝から夜まで鳴りっぱなし。インターホンが聞こえて出ると必ずマスコミや。マスコミに翻弄される毎日やったわ。トイレに行く時間すらなかった」

 そんな中でも健治氏は心がけていたことがあった。

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健治氏から野崎さんの妻へのアドバイスとは…