「ぜんぜんないなぁ」養老孟司が自分の“最期”“終活”を明かす (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「ぜんぜんないなぁ」養老孟司が自分の“最期”“終活”を明かす

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養老孟司(解剖学者)週刊朝日#シニア
養老孟司(ようろう・たけし)さん/1937年、神奈川県生まれ。解剖学者。東京大学名誉教授。2015年、鎌倉市の建長寺に隈研吾氏設計の「虫塚」を建立し、毎年6月4日の虫の日に「虫供養」の法要を行っている。近著に『半分生きて、半分死んでいる』『遺言。』など。(撮影/写真部・大野洋介)

養老孟司(ようろう・たけし)さん/1937年、神奈川県生まれ。解剖学者。東京大学名誉教授。2015年、鎌倉市の建長寺に隈研吾氏設計の「虫塚」を建立し、毎年6月4日の虫の日に「虫供養」の法要を行っている。近著に『半分生きて、半分死んでいる』『遺言。』など。(撮影/写真部・大野洋介)

 一方で、別の時代だったらよかったとも思っていません。いろんなことがあったほうが、人生は面白い。

 多くの人は、仕事で悩みを抱えているかもしれない。だけど、仕事をしていれば悩むのが当たり前です。自分を成長させるために修業しているんだと思えばいい。

 残業が多くたって、やりがいや成長の実感があればいいんです。でも、いつまでたってもつらいばっかりで、自分が変わらないなら、「こんなことやってられるか」と、さっさと辞めればいいんです。われわれは、無駄に苦しむために生まれてきたわけじゃない。

 僕は、57歳になるまで、なんとか折り合いをつけてきたけど、これ以上はもう無理、もういいでしょ、と思って、大学は3年残して辞めました。そのころ、肺がんの疑いがあるって言われたのも大きかったかな。結局は何ともなかったんだけど、このままじゃ虫取りができないって。

――大ベストセラー『バカの壁』が出たのは、2003年。現在、累計440万部を超えている。

 僕の話は、解剖学者のくせにものの考え方について言っているとか、脳の話だけど哲学の話みたいだとか、既成のジャンルからはみ出しがちだった。それまで、「正規の仕事」として認めてもらえてなかったんです。本が売れたおかげで、世の中でも自分の中でも、それでいいんだってことになった。それは、まあよかったですね。
 僕は、昔からソクラテスが好きで、彼は自分のことをアテネという街のハチだと言っていた。僕もそうありたいですね。ブンブンとうるさく飛び回るけど、それで人々をハッとさせてものの見方を少し変える。そんなに思い詰めないで、こう考えたほうが楽でしょ、ってね。

■虫になったら虫取りができない

 印税も入りましたけど、日々の暮らしはとくに変わっていません。膨大な虫の標本を置くために、箱根に別荘を買ったぐらいかな。本を出す前からもともと探していて、それはどうしても必要だったから、本が売れなくても買ってたでしょう。もっと安い家になってただろうけど。

 いつ、どんな国に生まれていたとしても、「虫」に熱中していただろうと言い切る。養老さんにとって「虫取り」は、単なる趣味ではない。


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