【自衛のための主なポイント】


○扶養親族等申告書はきちんと記入し必ず提出
○新年度になったら振込額が変わったかどうか確認
○振替加算を全額もらえているかチェック
○「ねんきん定期便」の「これまでの年金加入履歴」などで保険料を納めた期間や金額に漏れがないか見る
○寿退社した人や勤務先が閉鎖・倒産した人らは「消えた年金」の恐れ
○不安点は「ねんきんダイヤル」(TEL:0570-05-1165)に相談

 自衛のための主なポイントを上にまとめた。当たり前のことのように感じるかもしれないが、意外にできていないもの。ごまかされないためにも、自分でやるしかない。

 そもそも、年金を巡る問題はなぜ繰り返されるのか。国がもっとしっかりしてくれたら、みんな安心できるのに。

 これまで約5千件もの消えた年金を“発掘”してきたことから「年金探偵」とも呼ばれる、社会保険労務士で年金コンサルタントの柴田友都氏は、制度に根本的な問題があると主張している。

「国民年金法や厚生年金保険法は、年金を受け取る権利について『本人の請求』に基づいて生じると定めています。これがすべての元凶で、年金をもらうには本人の請求がなくてはならない。国は保険料を納める義務だけを国民に押し付けておいて、いざ年金を支払う段になると責任を取らない仕組みになっている」

 安倍首相は2007年当時、消えた年金問題について、「最後の一人までチェックし正しい年金を支払う」と約束していた。今も2千万件が未解明だが、責任は誰が取ったのか。

 年金に関する制度は複雑でわかりにくいのに、「自己責任」で手続きを進めなければならない。自分が手続きミスした場合はもちろん、仮に機構の誤りで支払い漏れがあったとしても、本人が請求しなければもらうことはできないのだ。

 柴田氏は法改正が必要だと訴える。

「国民年金法や厚生年金保険法に『年金請求時に年金記録告知の義務を国が負う』などの条文を加えなければ、いつまでたっても無責任な体制が続いてしまうでしょう」

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