国に反発して保険料を払わず年金はいらないという人もいるが、ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は、「年金を満額もらえるように努力すべきだ」という。

 例えば、この記事をきっかけに記録を確認し、保険料の未納期間が見つかったとしよう。諦めることはない。過去5年以内については未納分の「後納制度」があるのだ。通常は過去2年以内しか認められていないが、今年9月までの時限措置で5年に延ばされているのだ。

 未納期間があるため老齢基礎年金を満額もらえない人は、60歳以降も65歳まで任意加入できる制度もある。受給に必要な納付期間は、かつての25年から10年に短縮されている。これまで保険料を払わずに60歳近くになった人でも、こうした制度を使えば復活のチャンスはある。

 国民年金の1カ月当たりの保険料は、18年度は1万6340円。高いかもしれないが、「人生100年」と言われる時代だ。生きている間はずっとお金がもらえる公的年金を、活用しない手はない。余裕があれば、税金面でメリットがある個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」などに資金をまわしてみよう。

 知識をつけてあらゆる制度を使い、自分の年金は自分で守る。今回の機構のあきれた失態を、私たちのお金を国任せにはしないよう決意するきっかけにしたい。(本誌年金取材班)

週刊朝日  2018年5月25日号より抜粋