五月病にはセルフケアと同時に、周囲からのサポートが欠かせない(※写真はイメージ)
五月病にはセルフケアと同時に、周囲からのサポートが欠かせない(※写真はイメージ)

 4月からの新しい仕事、新しい職場で「さあ、やるぞ」と意気込んでみたものの、「何か違うな」「今度の上司(部下)とはどうもうまくいかない」などの思いが強まり、ゴールデンウィークが明けたころから、不安感や抑うつ感が目立つように……。このような「五月病」に早めに気づくにはどうしたらよいか。実際に五月病が疑われるとき、本人や周囲の人はどのように対処したらよいのか。産業医でもある精神科医に、アドバイスしてもらった。

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 人形町メンタルクリニック・院長の勝久寿医師は、五月病に早めに気づくために、次のような「ストレスが限界に近いサイン」を見逃さないことを訴えている。これらは五月病をはじめとする心の不調への入り口、黄信号だという。

■ ストレスが限界に近いサイン(五月病など、心の不調の黄信号)

(1)よくイライラするようになった
 とくに課せられた仕事が増えたときや、新しい仕事が追加されたとき
(2)神経質になって、同じことを細かく何度も確認するようになる
 自分自身の仕事や行動の確認だけでなく、部下の仕事の確認や指示の確認も
(3)変化を受け入れられずに柔軟性がなくなる
 効率的であっても新しい方法やシステムを受け入れようとしない
(4)問題があってはいけないと心配で職場から離れられなくなる
 とくに必要もないのに早朝や休日に出勤したり、遅くまで職場にいる
(5)周囲の発言や行動をいちいち否定的にとらえる
 自分を責めている、ばかにしている、嫌っている、などと思えてしまう

 さらに、勝医師によると、ストレスは強過ぎれば障害となるが、適度なものはストレス耐性の向上、すなわちストレスに強くなることにつながる。筋肉に適度な負荷をかけると筋力がアップするのと同じである。反対にストレスを回避してばかりではストレス耐性が弱まる。これは運動不足で筋力が衰えることと同じ。そこで勝医師は、上記のような黄信号にとどまらず、五月病で不安感や抑うつ感に見舞われたら、次のような“心のトレーニング”による改善をすすめる。

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