「ちょっとショックではあったんですが、傘をさすと左側だけ雨音が聞こえず、雨が降っていないかのように感じるのがおもしろくて、“これはドラマになる”と思いました」(北川氏)

 ヒロインの鈴愛は、自身の聞こえない耳を「耳の中で小人が歌って踊ってる」と話し、不快なノイズであるはずの耳鳴りを「海の音。潮騒」だと表現する。

「障害を個性と捉え、ユニークな女の子として描かれている。ドラマ全体がとにかく明るくて、久しぶりに“本気で見たい朝ドラが帰ってきた”とワクワクしています」(碓井教授)

「赤チン」に「ねるとん番組」、ボディコンや「レナウン」のCMなど、70~80年代の懐かしさが随所にちりばめられているのも特徴の一つ。北川氏は制作決定発表後、自身のツイッターで、鈴愛と同じ「1971年前後生まれの人」に向け、当時の流行についてアンケート。参加型の脚本構成でファンのハートをつかんだ。制作段階からのこうした積み重ねが功を奏し、放送開始時点での公式インスタグラムのフォロワー数が16万超と異例の注目度。現在SNS上では、視聴者間での“懐かしさ談議”が活発に繰り広げられている。(本誌・松岡かすみ)

週刊朝日 2018年5月18日号

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