マッサージ好きの記者は、たまらず試してみることに。開始前、スタジオ入り口でインストラクターからジェルを受け取る。それを体に塗りながらヨガをする。セルフマッサージとヨガのミックスのような時間は、体にたまった老廃物が流れていく感覚で、むくみも解消したような気持ちになる。

 慢性的な肩こりに悩む記者が次に試したのは、「肩コリラックスヨガ」。持参のハンドタオルを使って、肩こりの原因となる、肩甲骨を支える六つの筋肉をほぐしていく。

 スタジオには、ヨガどころか、日ごろ運動とは縁遠そうな人もいたが、気持ちよさそうな様子を見ると、「とっつきにくいヨガ」という先入観は消え、むしろ、「自分の体と向き合えるきっかけになる」とも感じた。

 さて、ここでヨガのお勉強。世に多く普及しているヨガは「ハタヨガ」がベースとなっている。ハタヨガとは、体と呼吸によって潜在的なエネルギーを引き出すヨガのことで、「ha=太陽」と「tha=月」に由来する。ハタヨガの一つに「陰ヨガ」がある。陰ヨガは座位か、寝た状態で行い、一つのポーズに5分以上かけ、ゆったりとして心身の声を聴く。

 陰ヨガのインストラクターである中里貴子さんはこう語る。

「心身の状態は日によって異なる。朝と夜、雨の日と晴れの日、春と夏でも。また、仕事がない日とある日、病院に行く日、行かない日……。常に心と体に意識を向けてみて、心がザワザワとしていれば、落ち着かせるために呼吸をさらにゆっくりと。日々の生活に取り入れ、バランスを取ることこそ、ヨガ本来の目的です」

 中里さんのアドバイスを受けながら、中年男性や高齢者向けのヨガを紹介しよう。

 まずは50~60代の働き盛りの男性向け。

「瞑想的なヨガです。陰極まれば陽になり、陽極まれば陰になる、という言葉があります。陽は『スピーディー』とか『頑張る』ことで、陰は『休む』こと。ビジネスマンほど陰ヨガが向いています」(中里さん)

 決して頑張りすぎないこと。「イテテテ」と口にしながら、無理に体を動かすのは避けよう。「楽ちん。気持ちいい」でいい。

「気持ちいいなぁと思えるヨガは体にも心にも効果があります」(同)

 頑張ることを習慣化していると、体の悲鳴すら聞こえず、「気持ちいい」状態がわからない人もいるだろう。そういう人は、「呼吸が楽にできているか」を観察しよう。

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