自分が子供の頃、お小遣いで100円もらって、それでこの100円をどう使うか? どのお菓子を買うかを考えていた。このままいくと、お小遣いを電子マネーで払う時代になってしまいますよね。子供にとってそれでいいのか?

 僕の知り合いの息子さんが、小学生で、いつもSuica定期券を使っているんだけど、友達にそのSuicaを使って販売機のジュースをおごってあげたと知り、強く叱ったと言っていた。これが現金だったらそう簡単におごらないはず。

 そんな中、最近、電子マネーに対応するガチャガチャができたと聞いた。うちの息子はトーマスのガチャガチャが好きで、たまにやるのだが、正直、小銭がないときに両替するのが面倒だ。もし、電子マネーでやれたら超便利。だが、200円ずつ入れてやるときよりも、その罪悪感が減り、何度もやってしまうかもしれない。

 子供が電子マネーで何度もガチャガチャやってたら、それは腹立つしな。やっぱり200円で1回ガチャガチャやることの重みを知ってほしいしな。

 電子マネーで便利になることって、それはお金の重みが軽くなること。

 便利とモラルって意外と反対側にあったりするのかなと思ったりする。

週刊朝日 2018年4月20日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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