◆新潟 かんずり


国産唐辛子を用いたコクとうまみのある調味料

新潟産の肉厚唐辛子を雪にさらし、米麹、柚子、塩を加えて、最低3年間熟成発酵させた。上杉謙信の時代から作られていたという。角が取れた辛さのため、料理を引き立てる格好の辛み調味料だ。薬味として用いるほか、醤油やタレに溶いて使えば、風味が増すうえ味に深みが出る。写真は6年も仕込んだもので、とてもマイルドな辛さだ

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かんずり 新潟県妙高市西条437−1 吟醸生かんずり6年仕込み 85g1080円

◆石川 ふぐの子糠漬け
塩と糠に漬けたことで毒が消えたふぐの卵巣

ふぐの卵巣を2年以上塩漬けと糠漬けにすることで、毒素を消した珍味。長期間にわたって漬けるため塩分が強いので、ごく少量ずつをご飯の供として、酒のあてとして食す。軽くあぶると風味も増す。醤油代わりに刺し身に合わせると魚のうまみを引き出すし、マヨネーズや牛乳との相性も良いので、おにぎりやパスタにもおすすめ

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油与商店 石川県金沢市金石北2−1−33 糠ふぐの子 120g840円

◆石川 かぶら寿司
カブでブリを挟み麹で漬け込んだ風情溢れる逸品

金沢の冬のご馳走として愛され続けてきた。輪切りにして塩漬けしたカブで、やはり塩漬けにしたブリを挟む。そのうえでニンジンと共に米麹で本漬けする。発酵によって生まれた甘み、酸味、そして上品なうまみを堪能できて、いくつでも食べたくなってしまう。なお同地には、厚く切った大根とニシンを米麹で漬けた大根寿司もある

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四十萬谷本舗 石川県金沢市弥生1−17−28 金城かぶら寿し 250g1512円
*2月の大雪の影響で在庫不足の可能性があります。ご注意ください

◆長野 すんき漬け
塩を使用せず! 乳酸菌だけで育まれた優しい味わい

一切塩を使わない漬物があるなんて!? 総面積の90%を山林が占める木曽町では昔、塩の確保が非常に困難だった。そのため無塩で赤カブの茎や葉を発酵させ、豊富な乳酸菌を含んだすんきが生まれた。まろやかな酸味が特徴で、鰹節と醤油をかけていただくだけでなく、味噌汁の具材や温かい蕎麦のトッピングとしてもよく使われる。近年は野菜の甘みを引き立てるということで、サラダに利用する女性も多い

Shop Data アルプス物産 長野県木曽町新開2387−3 すんき 200g486円

本 豆腐のもろみ漬け
平家の落人が生み出したチーズのようなまろやか豆腐

山都町は、その山深さと複雑な地形から平家の落人が隠れ住んだという。彼らは保存食として、豆腐の味噌漬けを作ったと伝えられる。その製法をアレンジ。豆腐をもろみに漬けて熟成させたことで、塩分を控えめにした。また半年間も低温熟成させたことで、ほのかな甘みをまとったクリームチーズのような味わいに仕上がっている

Shop Data 豆酩 熊本県山都町下馬尾263−1 秘伝豆酩 100g648円

取材・文=菊地武顕(本誌)

週刊朝日 2018年3月23日号