鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍
鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍
高層マンションは怖い?(※写真はイメージ)
高層マンションは怖い?(※写真はイメージ)

 放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は東日本大震災を経験し、強くなった思いについて書く。

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 僕は東京に出てきてから、借りた部屋はずっとマンションの2階。1階は防犯上怖い。高層マンションも嫌いで、絶対、低層マンションの2階を借りていました。理由は、地震が怖いからです。元々ビビリでもありますが、阪神大震災のドキュメンタリーを見て、その恐怖が強烈に刻み込まれた。2階だったら、最悪、飛び降りても外に出られる。そんな僕の2階に住む理由を、たくさんの人が「ビビリだな~」と笑っていました。2011年3月11日までは。

 2011年3月11日午後2時46分。僕は東京FMでラジオの生放送中でした。それまで何度か放送中に小さな地震はあった。なので、またそのうち止まる、と思ったら、揺れは激しくなり、放送中なのに、放送を放棄して、机の下に潜った。放送は中断し緊急放送に切り替わった。生放送中、ブースの中で地震が起きたため、すぐに逃げてはいけないという意識と、放送をしなければいけないという気持ち。この経験が僕の中で大きな恐怖となった。当時、「SMAP×SMAP」という番組で、被災地を応援するものを何度かやらせていただいた。それもあって、震災から2カ月ほどたってから、被災地に何度か行かせていただいた。あのときに目に焼き付いた景色は、今でも消えることはない。

 そして、あれから7年がたつ。東日本大震災の翌年はテレビでもたくさん特別番組が組まれていた。が、気づくと、そのような番組は減っていった。

 様々な局が番組の中であれだけ「風化させないように」と謳っていたはずなのに、そのような番組自体が風化してしまっている。

 僕はラジオのブースの中にいたときに地震が起き、そして被災地に何度か行かせていただいてるおかげで、僕の周りにいる人に比べて、地震に対する恐怖心がとても強いほうだと思う。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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