三木英之(みき・ひでゆき)さん/整形外科医。とつか西口整形外科院長。アトランタオリンピック日本選手団本部医師等、スポーツドクターとしても活躍。監修書に『痛くないストレッチ』(KADOKAWA)等
三木英之(みき・ひでゆき)さん/整形外科医。とつか西口整形外科院長。アトランタオリンピック日本選手団本部医師等、スポーツドクターとしても活躍。監修書に『痛くないストレッチ』(KADOKAWA)等
性別にみた有訴者率の上位5症状(複数回答)(週刊朝日 2018年2月23日号より)
性別にみた有訴者率の上位5症状(複数回答)(週刊朝日 2018年2月23日号より)
柔軟性・関節可動域の改善 股関節ほぐし(週刊朝日 2018年2月23日号より)
柔軟性・関節可動域の改善 股関節ほぐし(週刊朝日 2018年2月23日号より)
筋力の改善 腹圧トレーニング(週刊朝日 2018年2月23日号より)
筋力の改善 腹圧トレーニング(週刊朝日 2018年2月23日号より)
動作の改善 片脚立位の確認(週刊朝日 2018年2月23日号より)
動作の改善 片脚立位の確認(週刊朝日 2018年2月23日号より)

 平成28年の厚生労働省の国民生活基礎調査の結果によると、腰痛に悩む人は男女共に多い。

【図】腰痛に悩んでいる人は<股関節ほぐし>がおすすめ!

「腰痛があると無意識のうちに、カラダをあまり動かさないよう制御してしまいがちです。でも骨格筋の量は、男性は50歳、女性は60歳以降、急激に低下します。腰が痛いからといって歩くのを億劫がっていると、筋力はますます低下する一方です。自分は腰痛もちだという自覚のある方は、まずは股関節まわりをほぐし、腰部のストレスを軽減することが大切です」と、整形外科医の三木英之さん。腰痛を改善しながら、体幹を安定させる筋力トレーニングをする。そしてまたカラダのバランスを保つ力も鍛えていくことで、転倒を予防できるという。

「実は姿勢の安定を保つ“平衡機能”も加齢と共に低下していきます。男性は20歳、女性は26歳ごろにピークに達し、それ以降は低下が著しいのです。カラダのバランスを崩しやすいということは、それだけ転倒のリスクが増えるということ。なので筋力だけでなく、毎日『バランス力』を鍛えていくことも大切なのです」(三木さん)

 三木さんが提唱するのは、3ステップの運動療法だ。「毎日、『三つの改善』と覚えてください。まず硬くなった筋肉や関節をほぐす『柔軟性・関節可動域の改善』です。そして体幹を安定させるための『筋力の改善』、最後に姿勢を安定させるための『動作の改善』を行うのです」

 それでは理学療法士の平雅成さんのアドバイスと共に、夜、入浴後などに実践してみよう。

「柔軟性・関節可動域の改善には、ボールを使って『股関節ほぐし』を行います。足の付け根にある股関節には毎日大きな負担がかかっています。そのまわりの筋肉も疲れてこわばっていますので、しっかりほぐしてあげましょう」(平さん)

 仰向けに寝転んで、お尻の下にボールをあて、コロコロさせてみよう。硬くなった大殿筋(お尻の筋肉)がほぐれ、腰周辺もじんわり。

「ボールには硬式テニスボールや、ラクロスボールがおすすめです。テニスボールの新品ですと、硬すぎて痛い場合があります。適度に使い込んだ“やや硬め”くらいがいいですね。ラクロスボールはネットで購入されるのが早いです」

 そして次は、筋力をつけるために「腹圧トレーニング」を。

「体幹(胴体部分)の筋力が低下すると姿勢が悪くなり、カラダの節々が痛くなる原因になります。体幹を安定させるために、おなかまわりの『腹圧トレーニング』をしましょう。慣れてきたら、前後左右に重心を移す練習もしてみてください。また、おなかに力を入れたまま片手、片足を上げられるようになると、さらなる筋力アップにつながります。右手を前に伸ばしたときは、左足を後ろにグッと伸ばしてください。そして左手を前に伸ばしたときは、右足を後ろにグッと伸ばして」

 締めのトレーニングは動作改善のための「片脚立位の確認」だ。

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